高齢者の靴のおすすめ5選|履きやすく転倒予防になる靴を現役PTが解説【男女別】

玄関でかがまずにスニーカーへ足を差し込むハチワレ猫のおじいちゃんと、靴を差し出すリスの水彩イラスト。高齢者の靴のおすすめ5選のアイキャッチ 介護
ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で毎日、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合っています。
▶ ブログを書く理由 プロフィール

📅 2026年7月更新:女性向け・男性向けの2記事を統合し、悩み別の5選にリニューアルしました。

「靴なんて、どれも同じでしょう」——そう思われがちですが、理学療法士として病棟で見ていると、靴を履く動作そのものが転倒のきっかけになっている方が少なくありません。

かがんで靴を履こうとしてふらつく。かかとを踏んだサンダルでつまずく。腰の骨折後でコルセットをしていると、そもそも深くかがむこと自体が難しくなります。

この記事では、現役PTの目線で「履きやすくて、転倒予防になる靴」の選び方と、悩み別のおすすめ5足を紹介します。入院を機にご家族が贈るケースも多いので、プレゼント選びにもどうぞ。

📌 こんな方に読んでほしい記事です

  • 高齢の親に、履きやすくて安全な靴を贈りたい方
  • かがんで靴を履くのがつらくなってきた方
  • 幅広・むくみ・施設用など、足の悩みに合う靴を探している方
✅ 悩み別・おすすめ早見表

こんな悩みに おすすめ
かがまずに履きたい(女性) スリップインズ(レディース)
男性の最初の1足 スケッチャーズ キーペース
幅が広い・きつく感じやすい FitVille(幅広4E)
むくみ・しっかり固定したい あゆみ ダブルマジックIII
室内・施設用 ムーンスター パステル410

なぜ「靴」が転倒予防になるのか

理由は2つあります。ひとつは歩くときの安定。かかとがしっかり固定される靴は、足と靴が一体になって動くので、つまずきにくくなります。逆に、かかとを踏めるサンダルやスリッポンは、靴の中で足が泳いで転倒のもとになります。

もうひとつは履くときの安全です。じつは高齢の方が転倒する場面として、意外と多いのが「靴を履く瞬間」なんです。

「靴を履く瞬間」に、転倒は起きる

玄関で靴を履こうとしてかがむ。その瞬間、血圧が変動します(起立性低血圧といいます)。立ち上がるときにフラっとして、そのまま転倒——玄関での転倒は、このパターンがとても多いんです。

さらに、片足立ちでバランスをとりながら、紐を結ぶ・かかとを引き上げる。健康な人には何でもないこの一連の動きが、高齢の方には「転倒の連鎖」になりかねません。だから、「かがまずに履ける靴」を選ぶことは、それ自体が転倒予防なのです。

かがむと血圧が下がってふらつく流れを示した3コマの図解。だから、かがまずに履ける靴を選ぶだけで転倒の危険を減らせる

「これ、全然違う」——圧迫骨折の患者さんが教えてくれたこと

以前担当した、70代の男性患者さんのお話をさせてください。腰椎圧迫骨折で入院され、コルセットを着けた状態でリハビリが始まりました。コルセットをしていると、体幹をほとんど前に倒せません。つまり、かがむ動作がほぼできない状態です。

リハビリが進んで歩けるようになってきた頃、問題が出てきました。「腰を曲げられないから、靴が履けないんです」。退院が近づいているのに、ひとりで靴を履けない——それは、病棟スタッフを呼ばないと外に出られない、ということでもあります。

そこで試したのが、足を差し込むだけで履けるスリップオン型のスニーカーでした。ご本人が試された瞬間、「これ、全然違う」とおっしゃったのを今でも覚えています。ご自分で着脱できるようになったことで病棟内の移動がひとりでできるようになり、退院にも大きく近づきました。靴ひとつで、これほど変わるんです

手術のあとも、「靴だけは自分で」できた80代の方

もうひとつ、印象に残っている方がいます。手術後すぐの、まだ動きが制限される時期の80代の患者さん。起き上がるのもひと苦労なのに、靴の着脱だけはご本人ひとりでスムーズでした。「手を使わずに履けるスニーカー」を持参されていたんです。

かがむ心配がないことは、血圧の変動や転倒のリスクを減らすこと。退院後も、靴の着脱で一日に何度も「ヒヤリ」とする場面がなくなる——これは、ご本人にとってもご家族にとっても、想像以上に大きな安心です。

選び方4つのポイント

  • ① かかとがしっかりしている——指でつまんで簡単につぶれないもの。かかとが柔らかい靴は固定力が弱めです
  • ② かがまず履ける仕組み——スリップイン(手を使わずスッと履ける)か、マジックテープで大きく開くもの
  • ③ 軽いこと——重い靴は足が上がりにくくなり、すり足の原因になります
  • ④ サイズと幅——夕方はむくみで足が大きくなりがち。試し履きは夕方が安心です
安心な靴の4つのポイント(かかとが硬い・かがまず履ける・とても軽い・夕方にサイズ確認)を示した靴の図解

悩み別おすすめ5選|男女別に紹介

① かがまずに履きたい女性に:スケッチャーズ スリップインズ(レディース)

手を使わずに足を入れるだけで履ける「スリップインズ」シリーズ。かがむ動作そのものをなくせるので、腰や膝がつらい方、コルセットをしている方に特におすすめです。見た目も普通のスニーカーなので「介護っぽさ」がありません。

② 男性の最初の1足に:スケッチャーズ キーペース(メンズ)

軽くて脱ぎ履きしやすい、メンズの定番スニーカー。「歩きやすい靴に替えましょう」と言われて最初の1足を探すなら、まずこのあたりから。デザインが若々しいので、靴から「高齢者向け」の匂いがしないのも長所です。

③ 幅が広い・きつく感じやすい方に:FitVille(幅広4E)

幅広設計(2E〜4E)のスニーカー。外反母趾ぎみの方や、いつも幅がきついと感じる方の選択肢です。きつい靴を我慢して履くと、足の痛みから歩き方が崩れ、それが転倒につながることもあります。

④ むくみ・しっかり固定したい方に:あゆみ ダブルマジックIII(男女兼用)

介護シューズの定番、徳武産業の「あゆみ」。マジックテープが2本で、大きく開いて履かせやすく、むくみの変化にも調整で対応できます。ご家族が履くのを手伝う場面が多い方には、これがいちばん実用的です。

⑤ 室内・施設用に:ムーンスター パステル410(男女兼用)

軽い室内用シューズ。デイサービスや施設で「上履き」の指定がある場合の定番です。入院やデイの持ち物リストに「室内用の靴」とあったら、このタイプを思い出してください。

買う前に知っておいてほしいこと

  • できれば本人と一緒に、夕方に試し履きを。プレゼントの場合は、今履いている靴のサイズと幅を先に確認しておくと失敗が減ります
  • かかとを踏んで履かない。どんなに良い靴も、かかとを踏んだ瞬間にサンダルになります
  • 迷ったら、履く場面(外・室内・施設)を先に決める。場面が決まれば選択肢は自然に絞れます
  • 試し履きは足がむくむ夕方に。足に合った靴は毎日守ってくれる贈り物、という図解

高齢者の靴のよくある質問

Q. サンダルやスリッポンではダメですか?

A.かかとが固定されない履き物は、靴の中で足が動いてつまずきやすくなります。ゴミ出しなどの短い外出でも、転倒は一瞬です。普段履きは「かかとのある靴」をおすすめします。

Q. マジックテープとスリップイン、どちらがいいですか?

A.かがまずに履きたい方はスリップイン、むくみがある方や、ご家族が着脱を手伝う方はマジックテープが向いています。本人の「今いちばん困っていること」から選んでみてください。

Q. サイズはどう選べばいいですか?

A.足がむくみやすい方は、夕方のいちばん大きいときに合わせるのが安心です。幅(2E・3E・4E)の表示も要チェック。きつい靴の我慢は、歩き方を崩す原因になります。

Q. プレゼントで贈るときの注意は?

A.今履いている靴の中敷きを見るとサイズ表記があります。こっそり確認しておくと確実です。贈ったあと「最初の1回」を一緒に履いて近所を歩くと、そのまま使われる確率がぐっと上がります。

⭐ PTからひとこと

「入院を機に、子どもが靴を買ってくれてね」——病棟でよく聞く、嬉しそうな声です。

靴は毎日履くもの。だから、足に合った1足は毎日の転倒予防であり、毎日思い出してもらえる贈り物でもあります。選び方で迷ったら、この記事に戻ってきてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました