📅 2026年7月に女性向け・男性向けの2記事を統合、8月に術後・むくみの時期向けの1足を追加して悩み別の6選になりました。
「靴なんて、どれも同じでしょう」——そう思われがちですが、理学療法士として病棟で見ていると、靴を履く動作そのものが転倒のきっかけになっている方が少なくありません。
かがんで靴を履こうとしてふらつく。かかとを踏んだサンダルでつまずく。腰の骨折後でコルセットをしていると、そもそも深くかがむこと自体が難しくなります。
この記事では、現役PTの目線で「履きやすくて、転倒予防になる靴」の選び方と、悩み別のおすすめ6足を紹介します。入院を機にご家族が贈るケースも多いので、プレゼント選びにもどうぞ。
- 高齢の親に、履きやすくて安全な靴を贈りたい方
- かがんで靴を履くのがつらくなってきた方
- 幅広・むくみ・施設用など、足の悩みに合う靴を探している方
| こんな悩みに | おすすめ |
|---|---|
| かがまずに履きたい(女性) | スリップインズ(レディース) |
| 男性の最初の1足 | スケッチャーズ キーペース |
| 幅が広い・きつく感じやすい | FitVille(幅広4E) |
| むくみ・しっかり固定したい | あゆみ ダブルマジックIII |
| 室内・施設用 | ムーンスター パステル410 |
| かがめない・足を持ち上げにくい(術後など) | LAQUN(ラクーン) |
👟 退院前後の靴選びで迷っている方へ:「リハビリシューズを用意して」と言われたら、普通のスニーカーと何が違うのか→ リハビリシューズと普通のスニーカーどっち?
なぜ「靴」が転倒予防になるのか
理由は2つあります。ひとつは歩くときの安定。かかとがしっかり固定される靴は、足と靴が一体になって動くので、つまずきにくくなります。逆に、かかとを踏めるサンダルやスリッポンは、靴の中で足が泳いで転倒のもとになります。
もうひとつは履くときの安全です。じつは高齢の方が転倒する場面として、意外と多いのが「靴を履く瞬間」なんです。
「靴を履く瞬間」に、転倒は起きる
玄関で靴を履こうとしてかがむ。その瞬間、血圧が変動します(起立性低血圧といいます)。立ち上がるときにフラっとして、そのまま転倒——玄関での転倒は、このパターンがとても多いんです。
さらに、片足立ちでバランスをとりながら、紐を結ぶ・かかとを引き上げる。健康な人には何でもないこの一連の動きが、高齢の方には「転倒の連鎖」になりかねません。だから、「かがまずに履ける靴」を選ぶことは、それ自体が転倒予防なのです。

「これ、全然違う」——圧迫骨折の患者さんが教えてくれたこと
以前担当した、70代の男性患者さんのお話をさせてください。腰椎圧迫骨折で入院され、コルセットを着けた状態でリハビリが始まりました。コルセットをしていると、体幹をほとんど前に倒せません。つまり、かがむ動作がほぼできない状態です。
リハビリが進んで歩けるようになってきた頃、問題が出てきました。「腰を曲げられないから、靴が履けないんです」。退院が近づいているのに、ひとりで靴を履けない——それは、病棟スタッフを呼ばないと外に出られない、ということでもあります。
そこで試したのが、足を差し込むだけで履けるスリップオン型のスニーカーでした。ご本人が試された瞬間、「これ、全然違う」とおっしゃったのを今でも覚えています。ご自分で着脱できるようになったことで病棟内の移動がひとりでできるようになり、退院にも大きく近づきました。靴ひとつで、これほど変わるんです。
手術のあとも、「靴だけは自分で」できた80代の方
もうひとつ、印象に残っている方がいます。手術後すぐの、まだ動きが制限される時期の80代の患者さん。起き上がるのもひと苦労なのに、靴の着脱だけはご本人ひとりでスムーズでした。「手を使わずに履けるスニーカー」を持参されていたんです。
かがむ心配がないことは、血圧の変動や転倒のリスクを減らすこと。退院後も、靴の着脱で一日に何度も「ヒヤリ」とする場面がなくなる——これは、ご本人にとってもご家族にとっても、想像以上に大きな安心です。
選び方4つのポイント
- ① かかとがしっかりしている——指でつまんで簡単につぶれないもの。かかとが柔らかい靴は固定力が弱めです
- ② かがまず履ける仕組み——スリップイン(手を使わずスッと履ける)か、マジックテープで大きく開くもの
- ③ 軽いこと——重い靴は足が上がりにくくなり、すり足の原因になります
- ④ サイズと幅——夕方はむくみで足が大きくなりがち。試し履きは夕方が安心です

悩み別おすすめ6選|男女別に紹介
① かがまずに履きたい女性に:スケッチャーズ スリップインズ(レディース)
手を使わずに足を入れるだけで履ける「スリップインズ」シリーズ。かがむ動作そのものをなくせるので、腰や膝がつらい方、コルセットをしている方に特におすすめです。見た目も普通のスニーカーなので「介護っぽさ」がありません。
価格は8,500円前後です(2026年8月時点)。
② 男性の最初の1足に:スケッチャーズ キーペース(メンズ)
軽くて脱ぎ履きしやすい、メンズの定番スニーカー。「歩きやすい靴に替えましょう」と言われて最初の1足を探すなら、まずこのあたりから。デザインが若々しいので、靴から「高齢者向け」の匂いがしないのも長所です。
価格は8,800円前後です(2026年8月時点)。
③ 幅が広い・きつく感じやすい方に:FitVille(幅広4E)
幅広設計(2E〜4E)のスニーカー。外反母趾ぎみの方や、いつも幅がきついと感じる方の選択肢です。きつい靴を我慢して履くと、足の痛みから歩き方が崩れ、それが転倒につながることもあります。
価格は4,400円前後です(2026年8月時点)。
※リンク先はメンズです。外反母趾など幅で悩む女性には、FitVilleのレディース版(介護シューズタイプ)もあります。7,200円前後です(2026年8月時点)。
④ むくみ・しっかり固定したい方に:あゆみ ダブルマジックIII(男女兼用)
介護シューズの定番、徳武産業の「あゆみ」。マジックテープが2本で、大きく開いて履かせやすく、むくみの変化にも調整で対応できます。ご家族が履くのを手伝う場面が多い方には、これがいちばん実用的です。
価格は6,000円前後です(2026年8月時点)。
⑤ 室内・施設用に:ムーンスター パステル410(男女兼用)
軽い室内用シューズ。デイサービスや施設で「上履き」の指定がある場合の定番です。入院やデイの持ち物リストに「室内用の靴」とあったら、このタイプを思い出してください。
価格は7,000円前後です(2026年8月時点)。
⑥ むくみ・可動域の制限が大きい時期に:LAQUN(ラクーン)
①のスリップインズと同じ「かがまずに履ける」タイプですが、かかとの作りが違います。硬いけれど、踏み込むとつぶれる構造で、つぶれると履き口が広がります。
この記事では「かかとを踏まない」とお伝えしてきましたが、この靴は例外です。かかとが踏まれることを前提に設計されているので、ふつうの靴のようにかかとが崩れてサンダルのようになる心配はありません。
効いてくるのは、足の状態が日によって変わる時期です。手術のあとのむくみで朝は履けた靴が夕方は入らない、股関節や膝の可動域が制限されて足をうまく持ち上げられない——そういう時期に、履き口が広がってくれるのは助かります。足が曲がらなくても履けるというのは、思っているよりずっと大きいことです。
④のあゆみと迷うところですが、違いは調整のしかたです。あゆみはマジックテープで開いて調整するので、むくみが強い時期の履かせやすさは一番。こちらはバンドや靴ひもがない分、術後すぐの一番むくんでいる時期は少し入れにくいことがあります。そのかわり、手を使わずに履けるという点は最後まで変わりません。
価格は18,700円(2026年8月時点)と高めです。ただ、毎日の「履く」がいちばんの負担になっている方には、その負担が減る価値はあると思います。
▶ 1秒で履ける靴(LAQUN公式サイト)
買う前に知っておいてほしいこと
一足で全部をまかなえる靴はありません
靴を選ぶときに知っておいてほしいのは、術後すぐの時期と、落ち着いてからの時期では、いい靴が違うということです。
| 時期 | 合う靴 | この記事では |
|---|---|---|
| 術後すぐ (むくみ・関節の制限が大きい) |
マジックテープで開く型 | ④あゆみ |
| 落ち着いてから (外出が増える) |
かがまず履ける型 | ①②⑥ |
両方の時期にぴったり合う一足は、正直に言うとありません。退院のタイミングで一足、しばらくしてもう一足、という順番になることも多いです。最初から「これ一足で」と考えなくて大丈夫です。
そのほかの注意点
- プレゼントの場合は、サイズと幅を先に確認。今履いている靴のサイズと幅を控えておくと失敗が減ります(試し履きのコツは選び方④とFAQへ)
- かかとを踏んで履かない。どんなに良い靴も、かかとを踏んだ瞬間にサンダルになります(⑥のように踏まれる前提で設計された靴は例外です)
- 迷ったら、履く場面(外・室内・施設)を先に決める。場面が決まれば選択肢は自然に絞れます

靴を替えても足の裏やかかとの痛みが残るときは、中敷き(インソール)で底の硬さを補う方法もあります。私が仕事靴で実際に使った感想は、下の記事にまとめています。
▶ ソルボインソールの口コミは本当?効果ない?現役PTが仕事靴で使った本音
高齢者の靴のよくある質問
Q. サンダルやスリッポンではダメですか?
Q. マジックテープとスリップイン、どちらがいいですか?
そもそも「リハビリシューズが必要かどうか」で迷っている方は、普通のスニーカーとの違いと使い分けをリハビリシューズと普通のスニーカーどっち?で整理しています。「回復の一時期を支える靴」と考えると、買うタイミングが判断しやすくなります。
Q. サイズはどう選べばいいですか?
Q. プレゼントで贈るときの注意は?
⭐ PTからひとこと
「入院を機に、子どもが靴を買ってくれてね」——病棟でよく聞く、嬉しそうな声です。
靴は毎日履くもの。だから、足に合った1足は毎日の転倒予防であり、毎日思い出してもらえる贈り物でもあります。選び方で迷ったら、この記事に戻ってきてください。




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