「靴を履くだけで、こんなに楽になるなんて」
整形外科・回復期病棟で働く理学療法士として、ある80代男性の患者さんを担当した時のことを、今でもよく思い出します。
術後早期で、ベッドから起き上がるのは大変な状態。それなのに、ご自分で靴を履く動作だけは、信じられないほどスムーズだったのです。理由はシンプルでした。「手を使わずに履けるスニーカー」を、入院前から愛用されていたんです。
今回は、私が病棟で見て確信した、高齢の親御さんに贈りたい「手を使わずに履ける靴」3選を、PTの視点でお伝えします。母の日や帰省時のプレゼント選びにも、ぜひ参考にしてください。
「靴を履く動作」が、見落とされがちな転倒リスク
かがむ動作は、血圧変動と転倒の最大リスク
高齢の親御さんが転倒される場面で、意外と多いのが「靴を履く瞬間」です。
玄関で靴を履こうとしてかがむ。その瞬間、血圧が一気に変動します。これが「起立性低血圧」と呼ばれる状態で、立ち上がる時にフラっとして転倒する原因になります。
さらに、片足立ちでバランスをとりながら、紐を結ぶ・かかとを引き上げる——という複雑な動作。健康な人には何でもないこの一連の動きが、高齢者にとっては「転倒の連鎖」になりかねないんです。
病棟での体験:80代男性、術後早期の靴の着脱
冒頭でお話しした80代男性の患者さん。手術後すぐの、まだ動きが制限される時期でした。
起き上がるのも一苦労。それでも、靴の着脱だけは、ご本人ひとりでスムーズにこなせていました。「手を使わずに履けるスニーカー」を持参されていたんです。
かがむ心配がないことは、血圧の変動リスクや転倒のリスクを減らすことになる。その積み重ねは、本当に大切だと思いました。
退院後の生活でも、靴の着脱で一日に何度も「ヒヤリ」とする場面がなくなる。これは、ご本人にとってもご家族にとっても、想像以上に大きな安心感です。
PTが本気で選ぶ、親に贈りたい3つの靴
ここからは、私が病棟で見たり、患者さんやご家族にお伝えしてきた中で、「これは本当に良い」と感じた3つの靴をご紹介します。
屋外用2つ(メンズ・レディース)と、室内履き1つの組み合わせです。
🛒 ① 屋外用・メンズ|スケッチャーズ サミッツ – キーペース
男性の親御さんに贈るならこちら。「ハンズフリー スリップインズ」という独自構造で、手を使わずに足を入れるだけで履けます。
PTが推す理由:
- 普通のスニーカーに見える——「介護用」と気づかれず本人のプライドを傷つけない
- 軽量で長時間歩いても疲れにくい
- 洗濯機で洗える=介護負担も軽減
- 幅広設計で、浮腫みやすい高齢者の足にもやさしい
病棟で「これを持ってる方は本当に楽そうだな」と思う代表選手。お父さんの帰省土産・誕生日プレゼントにおすすめです。
🛒 ② 屋外用・レディース|スケッチャーズ ゴーウォーク フレックス
お母さんに贈るならこちら。同じくハンズフリーで履けるスリップインズ構造に、ウォーキング向けのクッション性をプラスしたモデルです。
PTが推す理由:
- 病棟では「赤やえんじ色のかわいらしい介護シューズ」を履いている女性が多いですが、「介護用」感がないデザインを求める方には断然こちら
- ウォーキング特化のクッションで、長距離散歩も疲れにくい
- 軽量&通気性が良いので、夏場の汗ばむ足にもやさしい
- スリッポン感覚なのに、しっかり足にフィット
「お母さんに、でも介護シューズはちょっと…」と迷われる方に、自信を持っておすすめできる一足です。母の日のプレゼントにも。
🛒 ③ 室内履き・男女兼用|あゆみ ダブルマジックIII(徳武産業)
屋外用とは別に、室内履きもセットで揃えてあげると親御さんの暮らしが格段に楽になります。
PTが推す理由:
- 介護シューズの王道ブランド「あゆみ」——病棟・施設でも採用される信頼の品質
- マジックテープ式で、片手でも装着しやすい
- 3E幅広設計で、浮腫んだ足でも痛くない
- 男女兼用なので、お父さん・お母さんどちらにも
- 父の日・母の日・敬老の日のプレゼントとしても定番
「屋外はスケッチャーズ、室内はあゆみ」のセットが、私が現場で見てきた中でももっとも親御さんの自立を支える組み合わせです。室内も裸足やスリッパだと滑って危ないので、ぜひ室内履きの導入もご検討ください。
プレゼントとしての選び方|サイズ・幅で失敗しないコツ
せっかく贈った靴が「サイズが合わない」では意味がありません。高齢者向けの靴選びには、若い人とは違う3つのポイントがあります。
ポイント①|サイズはハーフ〜1cm大きめを選ぶ
高齢者の足は、夕方になるとむくみで1cm近く大きくなることがあります。普段サイズより少し大きめを選ぶと、夕方でも痛くなりません。
ポイント②|幅広(3E以上)を選ぶ
外反母趾や扁平足のある親御さんは多いものです。幅広設計の靴を選ぶことで、長時間履いても痛みが出にくくなります。
ポイント③|軽さを最優先に
重い靴は、それだけで歩く時の負担になります。250g前後の軽量モデルが、高齢者には理想的です。
親の暮らしに「もう一段の安心」を
たかが靴、と思われるかもしれません。
でも、私が病棟で何度も思うのは、「日々の小さな動作の積み重ねこそが、転倒や骨折を防ぐ最大の予防」だということです。
かがまずに履ける靴は、血圧変動を防ぎます。転倒のリスクを下げます。ご本人の自立を支えます。そして、ご家族の心配をひとつ減らします。
たかが靴ですが、その「たかが」の積み重ねが、親御さんの暮らしを大きく変えていくんです。
母の日や帰省のタイミングは、こうした「日常を支えるプレゼント」を渡す絶好の機会です。お花やお菓子もいいですが、ぜひ一度、こうした「親の自立を支える贈り物」も選択肢に入れてみてください。
あわせて読みたい:親の転倒予防シリーズ
親御さんの「転倒予防」に関する別記事も、ぜひあわせてご覧ください。
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📝 この記事のまとめ
- 「靴を履く動作」は、かがむことで血圧変動・転倒リスクを生む見落とされがちな場面
- 手を使わずに履ける靴は、親の自立とご家族の安心を支える
- 屋外はスケッチャーズ Slip-ins、室内はあゆみのセットがPTのおすすめ
- サイズはハーフ大きめ・幅広・軽量を選ぶのがコツ
「うちの親、どんな靴を選べばいいか分からない」「他にも介護用品で気になることがある」という方は、LINEで個別にご相談ください。理学療法士として、ご家族の状況に合わせた最初の一歩をお伝えします。


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