親がボケてきた?と感じたら確認したい5つのサインと家族にできること

高齢の猫のそばでリスが心配そうに寄り添っているイラスト。テーブルにデジタルカレンダー。 介護
理学療法士が教える、親の変化に気づくためのサインと対応
ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で毎日、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合っています。
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「最近、親がなんかおかしい気がする…でも、気のせいかな」

そう思いながら、気づけば1年が経っていた——そんな方は、実はとても多いです。

「まだ大丈夫だよね」「受診させようとしたら怒られそう」「忙しくてなかなか動けない」。

理学療法士として、そんなご家族の声をたくさん聞いてきました。でも、認知症は早期に気づくほど、できることが増えます。この記事では、家族だからこそ気づける初期サインと、今日からできる対応を一緒に考えていきます。

★ こんな方に読んでほしい記事です
  • 「親が最近なんかおかしい」と感じ始めた方
  • 認知症かどうかまだわからないが、不安な方
  • 病院に連れて行くタイミングを迷っている方
  • どう声をかければいいか困っている方

認知症の初期サイン5選|家族だから気づけること

「物忘れがひどくなってきた気がするけど、年のせいかな…」。そう思って見過ごしてしまいがちですが、加齢による物忘れと認知症の初期サインには明確な違いがあります。

① 同じことを何度も聞く・話す

「さっき聞いたよ」と内心思いながら、何度も同じ返事をしている——そんな場面が増えてきたら注意が必要です。

加齢による物忘れは「思い出せないだけ」ですが、認知症の初期は体験そのものが記憶に残りません。「さっき言ったでしょ」と伝えても、本人には全く心当たりがないのです。

📌 PTポイント

会話の中で「さっきも同じことを言っていたな」と気づいたとき、回数より本人の反応を見てください。「あ、そうだっけ?」と気にする場合は加齢、まったく気にしない場合は認知症のサインである可能性があります。

② 物の置き忘れ・「盗られた」と言い始めた

財布や鍵が見つからなくて一緒に探したのに、翌日また同じことが起きる……。そのうち「誰かに盗られた」と言い始めることがあります。

これは「もの盗られ妄想」と呼ばれ、認知症の初期に多く見られる症状です。本人が嘘をついているわけではなく、置き忘れた記憶がないために、盗まれたと感じてしまうのです。

③ 日付・曜日・季節がわからなくなってきた

「今日は何日だっけ?」が増えた、約束をよく忘れる、季節外れの服を着ている——こういった変化も見逃せません。

時間の感覚(見当識)が低下しているサインです。進むと「今が何年か」もわからなくなってきます。

④ 料理の手順が乱れてきた

長年作ってきた料理の味が変わった、同じおかずが食卓に何度も並ぶ、台所でぼーっとしている時間が増えた——こういった変化は家族が気づきやすいポイントです。

複数の作業を段取りよく進める力(遂行機能)が低下しているサインで、初期認知症では比較的早い段階から現れやすい症状です。

📌 PTポイント

「料理できてる?」より「最近何作った?」と具体的に聞いてみてください。メニューがマンネリ化していたり、手順を説明できなくなっていたりしたら要注意です。

⑤ 以前好きだったことへの興味が薄れた

「お父さん、最近テレビも見てないし、外にも出ないし…」。そんな変化、感じていませんか?

意欲の低下は認知症の初期症状として非常によく見られます。「歳をとったから」と片付けてしまいやすいのですが、急に興味がなくなった・やる気が出ないという変化は見逃せません。

「認知症」と決めつけないで|似た症状が出る別の原因

「もしかして認知症?」と焦る前に、知っておいてほしいことがあります。認知症に似た症状は、別の原因からも起こりえます

  • 薬の副作用…複数の薬を飲んでいる高齢者に多い。薬の見直しだけで改善することも
  • うつ病(老人性うつ)…意欲低下・物忘れはうつでも起こる。見逃されやすいので注意
  • 脱水・栄養不足…水分や食事が足りないだけでぼんやりすることがある
  • 甲状腺の異常…血液検査で判明することが多い

これらは治療や対処で改善できます。「認知症かも」と思ったら、まずは病院で原因を調べることが大切です。

家族にできる声かけ・対応のコツ

「どう声をかけていいかわからなくて、ついきつい言い方をしてしまった…」と後悔している方も多いと思います。

認知症の初期段階では、本人も「なんかおかしい」という不安を抱えています。家族の言葉ひとつで、その不安が和らぐこともあれば、悪化することもあります。

やってはいけない声かけ

  • 「さっき言ったでしょ!」と責める
  • 「また忘れたの?」と繰り返す
  • 「しっかりして」と叱る

責められると、本人はますます混乱・不安になり、症状が悪化することがあります。

効果的な声かけのコツ

  • 「そうだったね、大丈夫だよ」と否定せず受け流す
  • 「一緒にやろう」と寄り添う
  • できていることを褒める・認める
  • 穏やかなトーンで、ゆっくり短く話す

📌 PTポイント

正しいことを伝えるより、本人が安心できる雰囲気をつくることが最優先です。「間違いを直す」より「一緒にいる」という姿勢が、長い介護を楽にしてくれます。

自宅で使える補助グッズ

「まだ介護サービスを使うほどじゃないけど、少し心配」という段階で役立つグッズを紹介します。

見当識を助けるカレンダー時計

「今日は何日?何曜日?」がわからなくなってきた段階でまず試してほしいのが、日付・曜日・時刻を大きく表示するデジタルカレンダー時計です。

ADESSO(アデッソ)のメガ曜日カレンダーは、シリーズ累計100万台以上売れているロングセラー商品。電波時計なので自動で時刻が合い、設定の手間がありません。壁掛け・卓上どちらにも使えるので、寝室やリビングに置いておくと本人が自分で確認できます。

呼び出しベル

「何かあったとき呼べる」という安心感は、本人にとっても家族にとっても大切です。

こちらのワイヤレスチャイムは防水仕様で工事不要。音量調節もできるので、聞こえにくい方にも安心です。トイレや寝室に置いておくと便利で、介護のごく初期段階から使い始めている方も多いです。

頭の体操グッズ(こういうもので楽しんでいる方が多いです)

まだ軽度・グレーゾーンの段階では、毎日少しずつ脳を使う習慣が大切とされています。クロスワードや計算問題など、楽しみながら取り組める問題集を使っている方を臨床でもよく見かけます。

「脳活!問題集150日」は、脳科学者の篠原菊紀先生が監修。150日分の問題が入っているので、毎日1ページずつ続けやすい構成です。あくまで参考程度ですが、こういうものを活用している方の紹介として載せておきます。

▶︎ 脳トレ・レクリエーショングッズについては、こちらの記事でくわしく紹介しています。(近日公開予定)

病院に連れて行くタイミング・何科を受診するか

「受診させたいけど、本人が嫌がる」「どこに連れて行けばいいかわからない」——そんな悩み、よく聞きます。

まずは「健康診断のついでに」「血圧を測りに行こう」といった軽い誘い方が効果的です。「認知症の検査」と言わなくていいのです。

何科を受診する?

  • かかりつけ医(内科)…まず相談しやすい。必要に応じて専門医への紹介状を書いてもらえる
  • 神経内科・精神科…認知症の専門的な診断・治療
  • もの忘れ外来…認知症専門の外来。地域の病院に設置されていることが多い

📌 PTポイント

「まだ大丈夫かな」と思っているうちに受診することが、一番の早期対応です。受診のハードルが高ければ、まず地域包括支援センターに相談するのも選択肢のひとつです。

まとめ|「気のせい」で終わらせないために

「まだ大丈夫だよね」と思い続けて気づけば1年——そんな経験をされた方に、ぜひ伝えたいことがあります。

サインに気づいたそのとき、すでに大切な一歩を踏み出しています。

  • 同じことを繰り返す、物を探す、日付がわからない→初期サインの可能性
  • 薬・うつ・脱水など他の原因も疑ってみる
  • 責めずに寄り添う声かけを心がける
  • 気になったら早めにかかりつけ医へ
★ PTからひとこと

臨床でご家族から「もっと早く気づけばよかった」という声をよく聞きます。でも、「おかしいかな」と気になって調べているあなたは、すでに気づいています。焦らず、でも早めに動いてみてください。ひとりで抱え込まなくていいです。

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