腰が痛い時にやってはいけないこと|痛みの見分け方を現役PTが解説

腰が痛い時にやってはいけないこと アイキャッチ画像(毛布にくるまってソファで休む猫と、見守るリスのイラスト) 理学療法
ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で毎日、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合っています。
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📅 2026年8月公開

腰が痛い時、インターネットで調べると「やってはいけないこと」がずらりと出てきます。でも読み終わったあとに残るのは、「じゃあ自分の場合はどうなんだろう」という迷いではないでしょうか。

この記事では、禁止事項を並べるかわりに、やっていいかどうかを自分で見分ける物差しをお渡しします。現役の理学療法士が、病院で実際に使っている考え方をそのまま説明します。

まずこれだけ|痛みの強さを数字で決める

リハビリの現場では、痛みの強さを0から10の数字で表してもらいます。0が「痛みなし」、10が「これ以上ないというくらいの痛み」です。

そのうえで私が目安にしているのは、6点を超える動きは、基本的に行わないということです。

痛みの点数を、自分でつけてみてください
今からやろうとしている動きで、痛みが何点になるか。5点くらいまでなら続けてよく、6点を超えるようなら、その動きは今日はやめておく。この一本の線があるだけで、迷いはずいぶん減ります。

よく「痛みを我慢して動かせば良くなる」と考えている方がいますが、これは勘違いです。我慢の量と回復の早さは比例しません。

痛みの強さを数字にする図解。0から10のうち、6を超える動きは避けるのが目安

はっきり避けたい3つのこと

数字の物差しとは別に、点数に関係なく避けてほしいものが3つあります。

  • 強くたたく——痛いところを拳などで強く刺激するのは避けてください
  • 無理にひねる——腰を勢いよく回す動きは、負担が集中しやすい動きです
  • 痛みを我慢して続ける——上に書いたとおり、我慢は回復を早めません

いずれも「良くしよう」と思ってやってしまいがちなものです。実際に、現場でもよく見かけます。

はっきり避けたい動きの図解。強くたたく、無理にひねる、痛みを我慢して続ける

ストレッチをしていいか、見分ける方法

「無理なストレッチはダメ」とよく言われますが、何が無理なのかが分からないと判断できませんよね。感覚で見分ける方法があります。

◯ 続けて大丈夫なサイン

じわーっと伸びる感じ/筋肉が突っ張る感じ

× すぐにやめるサイン

ビリッと走る/裂けるような鋭い痛み

「痛気持ちいい」までなら行って大丈夫です。ビリッとくる感覚は、筋肉ではなく神経に触れているサインのことがあるので、その場で中止してください。

痛みが落ち着いてきたら、そもそも腰に負担をかけにくい座り方も知っておくと、ぶり返しにくくなります。

📎 腰が痛い時の座り方|床・ソファ・椅子別に現役PTがわかりやすく解説

冷やす?温める?の見分け方

これも記事によって書いてあることが違って、迷いやすいところです。私は痛みの性質で分けています。

  • 急に出た、鋭い痛み——冷やすほうが先です
  • 慢性的な、ズーンと重い痛み——温めるほうが合います

迷った時は、実際にやってみて楽なほうを選んでください。体は正直なので、合っているほうが気持ちよく感じます。

無理に動かさなくて、大丈夫です

ここは、まず言葉の意味から整理させてください。

最近は「腰痛で安静にしすぎるのは良くない」という話をよく見かけます。その話の前に、ここで言う安静の意味を、先にはっきりさせておきます。安静とは、寝たきりで過ごすことではありません。トイレ・食事・着替えといった普段の生活を、痛みの範囲で続けることです。それ以上の特別な運動は、痛みが強い時期には要りません。

ご自宅で生活されている以上、この意味での安静は、すでにできているはずです。ですから、何か特別なことをしなければ、と気負う必要はありません。痛みが出ない範囲で、無理なく過ごしてください

ひとつ、現場の例も挙げておきます。背骨の圧迫骨折で入院された高齢の患者さんは、2週間ほどベッドの上で安静に過ごしたあとに歩く練習を始めて、きちんと歩けるようになっていきます。休むことそのものを、こわがらなくて大丈夫です。ただしこれは、診断がついて、医師の管理のもとで行われる安静の話です。原因の分からない痛みのまま何週間も寝込んでしまうのは別の話なので、その場合は受診を考えてください。

それでも、仕事や家事など、どうしても休めない事情がある方もいらっしゃると思います。その場合は「休めない自分が悪い」とは考えないでください。できる範囲で構いません。重い物を持つ場面だけ誰かに頼む、座る時間を短く区切る、痛みが6点を超える動きだけは避ける——そうやってしのぐのも、立派な対処です。

では、いつから動かしていくのか。私の考えはこうです。

安静にしていて大丈夫という図解。ベッドで休む、食事をとる、歩き出す、という流れ

痛みが落ち着いてきたら、「我慢できる痛み」と「やりたいこと」を天秤にかける
この動きをすると少し痛むけれど、どうしてもやりたい・やる必要がある。そう思えるなら、やってよいと思います。天秤が釣り合わないなら、まだ休んでいる時期です。

判断に迷った時は、痛みの性質に戻ってください。ズーンやズキズキという慢性的な感じであれば、多少はしょうがない範囲です。鋭く走るズキッとした痛みや、神経に触れるようなビリビリした感じは、避けるべきサインです。

痛みを言葉で表現できるようになると、ご自身の判断材料が増えますし、受診した時にも伝わりやすくなります。

寝ている間の姿勢も、痛みの残り方を左右します。タオル1枚でできる工夫をまとめました。

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痛みの性質で判断する図解。慢性的なズーンという重さは許容範囲、鋭いズキッは避けるサイン

マッサージや整体に行ってもいい?

「病院に行くほどではない気がするけれど、何とかしたい」という時、まずマッサージや整体、電気治療を考える方は多いと思います。私は、行ってみてよいと思っています。

理由は2つあります。ひとつは、うまくいけば痛みが治まる可能性があること。もうひとつは、専門職に少しでも話を聞いてもらうと、病院に行く踏ん切りがつくことがあるからです。いきなり病院はハードルが高い、というのは事実だと思います。

判断の目安はシンプルです。時間をかけて行く手間より、痛みをどうにかしたい気持ちが勝つなら、行ってみる。それくらいで良いと思います。

ただしひとつだけ。脚のしびれがある時や、下の🚑の枠に当てはまる症状がある時は、施術より先に受診してください。神経の症状がある腰は、まず診断が先です。

市販の痛み止めについて

市販の痛み止めを使うことは、良いと思います。痛みが和らげば、動きやすくなり、眠りやすくもなります。

ただし正直に言うと、効くかどうかは飲んでみないと分かりません。合う方もいれば、あまり変わらない方もいます。用法用量を守ったうえで、効かない場合は無理に続けず、受診を考えてください。

病院に行くタイミング

目安は3つです。

  • 明らかな外傷がある(転んだ、ぶつけた、重い物を持った直後など)——なるべく早く
  • 急に日常生活に支障が出た——なるべく早く
  • 日常的な痛みが、だんだん溜まってきている——手遅れになる前に

そして、動けないほどの痛みなら、迷わず病院へ

🚑 すぐに受診してほしい場合
おしっこや便が出にくい・漏れる、脚に急に力が入らない——このような症状がある時は、様子を見ずに今すぐ受診してください。

ひとつ、正直な気持ちも書いておきます。病院に行けば入院という可能性もありますから、症状が重いほど気軽に相談したくない、という気持ちは少し分かります。それでも、3つ目の「だんだん溜まってきている」に心当たりがあるなら、早いに越したことはありません

まとめ|物差しを持てば、迷わなくなる

  • 痛みが6点(10点満点)を超える動きは、今日はやめておく
  • 強くたたく・無理にひねる・我慢して続ける、この3つは避ける
  • ストレッチは「じわー」ならOK、「ビリッ」ならすぐ中止
  • 鋭い痛みは冷やす、慢性のズーンは温める
  • 痛みが強い時期は、無理に動かさなくてよい。普段の生活を痛みの範囲で
  • 落ち着いてきたら、我慢できる痛みとやりたいことを天秤に

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