「脳トレをやれば、認知症を予防できますか?」
リハビリの現場でよくいただく質問です。答えは「続けられるかどうか次第」だと思っています。
この記事では、実際に患者さんから聞いた「続けている活動」と、理学療法士として感じるポイントをお伝えします。認知症の程度別にグッズも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
★ こんな方に読んでほしい記事です
- 「認知症予防に何かさせたい」と考えているご家族
- 親にグッズを贈りたいけど何がいいか迷っている方
- 本人に続けられる活動を探している方
- 認知症の進み具合に合わせたグッズを知りたい方
患者さんが実際に続けている活動
リハビリで関わっている患者さんに「何か日課にしていることはありますか?」と聞くと、次のような答えが返ってきます。
- 毎朝、新聞を読む
- 近所を散歩する
- クロスワードパズルの雑誌を解く
どれも特別な道具がいらず、自分のペースで続けられるものばかりです。「続けているという事実」そのものが、脳への大切な刺激になっています。
散歩は「考えながら歩く」とより効果的
散歩はただ歩くだけでも体に良いのですが、脳への刺激を増やすには「考えながら歩く」ことがポイントです。
🚶 考えながら歩くヒント
- 今日の服装を振り返る
- 今日のご飯のメニューを考える
- 道端の花の名前を思い出す
- 景色を言葉にして声に出してみる
「言葉にする」という行為は、脳を活発に使います。一人で歩くときも、心の中で実況中継するような感覚で試してみてください。
📌 PTポイント
「何も考えずに歩く散歩」より「何かを意識しながら歩く散歩」のほうが脳への刺激は大きいとされています。家族が一緒に歩いて話しかけるだけでも、立派な脳トレになります。
クロスワードについて思うこと
クロスワードパズルは、取り組む難易度の調整が難しいと感じています。「簡単すぎてつまらない」「難しすぎて嫌になった」という声も聞きます。
それでも毎日雑誌を手に取って取り組んでいる患者さんは、本当に素晴らしいと思います。正解できるかどうかよりも、「取り組む習慣がある」こと自体が脳への刺激になっています。
認知症の程度別・おすすめグッズ
脳トレグッズは、認知症の進み具合によって選び方が変わります。本人に合ったものを選ぶことが、続けるための大前提です。
🧩 ①「最近、少し物忘れが増えたかな」という方
毎日少しずつ取り組める計算ドリルや脳トレワークがおすすめです。「少し頑張れば解ける」くらいの難易度のものを選ぶのがポイント。1日3分から始められるものが続けやすいです。
📖 ②「日常の中でつまずくことが増えてきた」という方
難しすぎず、でも退屈しない問題集がおすすめです。昭和・平成の思い出をテーマにしたクイズ形式のものは、「懐かしい!」という感情が湧きやすく、取り組みやすいと臨床でも感じています。知っている内容だから自信を持って取り組めるのが良い点です。
🎨 ③「日々のサポートが必要になってきた」という方
塗り絵や折り紙など、昔からなじみのある活動がおすすめです。「難しいことを頑張らせる」より、「なじみがあって分かりやすいもの」を選ぶことが大切です。達成感を感じやすく、穏やかな時間を過ごせます。
塗り絵は野菜・花・風景など身近なテーマのものが取り組みやすいです。折り紙は小さすぎると難しいので、17〜18cm以上の大判がおすすめです。
グッズ選びで一番大事なこと
どんなに評判の良いグッズでも、続けられなければ意味がありません。
「続けられるかどうか」が一番大事です。
そのためには、本人のこれまでの生活を参考にすることが重要です。
- 若い頃から読書が好きだった方 → 言葉系の問題
- 数字が得意だった方 → 計算ドリル
- 手を動かすことが好きな方 → 折り紙や塗り絵
📌 PTポイント
「これなら自分でもできそう」と感じてもらえるものが最良のグッズです。本人の表情や反応を見ながら、合わなければ迷わず変えてOKです。
ご家族へのメッセージ
グッズ以上に大切なことがあります。
- コミュニケーションの機会をつくる:話しかける、一緒に過ごす時間を意識的に設ける
- 社会参加を続ける:デイサービスや地域のつながりを活用する
- 小さな目標をつくる:「毎日脳トレをする」「散歩を続ける」など、達成感が生まれるものを
- 子どもや若い世代との交流:近所の子どもたち、デイサービスのスタッフ、ボランティアの学生など、年齢の違う人と話すだけでも脳への刺激になります
脳トレは「やること」が目的ではなく、その人の毎日を少し豊かにするための手段です。無理なく、楽しく続けられるものを一緒に探してみてください。
まとめ
- 患者さんが続けているのは「新聞・散歩・クロスワード」など身近な活動
- 散歩は「考えながら歩く」と脳への刺激が増える
- グッズは認知症の程度に合わせて選ぶ
- 何より「続けられるかどうか」が最重要
- 本人のこれまでの生活・好みをヒントにする
- 家族のコミュニケーションや社会参加も大切
★ PTからひとこと
「何をやらせたらいいかわからなくて…」と悩んでいるご家族をたくさん見てきました。正解を探しすぎなくて大丈夫です。本人が「楽しい」「またやりたい」と思えるものに出会えたら、それが一番の脳トレです。



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