腰が痛い時の寝方|楽な姿勢と寝ながらできるストレッチを現役PTが解説

腰が痛い時の寝方 アイキャッチ画像(朝の寝室でベッドの上でのびをする猫とリスのイラスト) 理学療法
ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で毎日、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合っています。
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📅 2026年8月公開

「夜、寝ていると腰が痛くて目が覚める」「朝起きた時が一番つらい」——こうした訴えは、リハビリの現場でとてもよく聞きます。正直なところ、腰に何の不安もないという方のほうが少ないくらいです。年齢や職業を問わず、誰にでも起こりうるものですし、時期やタイミングによって出たり治まったりもします。

この記事では、現役の理学療法士が、腰が痛い時に楽な寝方の考え方と、寝たままできるストレッチ、そして腰に負担の少ないベッドからの起き上がり方までまとめました。

先にいちばん大事な考え方をお伝えすると、「浮いてしまう場所を埋めて、体重を分散させる」——これだけです。難しい道具はいりません。

なぜ寝ていると腰が痛くなるのか

寝ている姿勢では、腰の反りの部分が宙に浮きやすくなります。浮いたままだと、腰の筋肉がその隙間を支え続けることになり、張って痛みが出やすくなります。

ですので対策はシンプルで、浮いている隙間をタオルなどで埋めて、体重を面で受けられるようにすること。これで腰の一点にかかっていた負担が分散されます。

ちなみに、夜の痛みで生活に支障が出るほどの方は、入院してリハビリを受けることもあります。診断としては腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、圧迫骨折などが多い印象です。夜間の痛みが強い場合は、寝方の工夫だけで抱え込まないでくださいね(受診の目安は記事の後半にまとめました)。

隙間を埋めて面で支える図解。浮いた箇所にクッションを置くと、腰の一点に集まっていた重さが分散する

仰向けで寝る時|膝の下にクッションを入れる

仰向けが好きな方に、まず試してほしい工夫です。

  • 膝の下に、分厚いタオルやクッションを入れる——腰が軽く丸みを帯びる姿勢になり、反りがゆるみます
  • それでも腰が浮くなら、腰の下の隙間にもタオルを入れる——浮いた腰をタオルで受けることで、圧力が分散されます

ポイントは、腰を「浮かせたまま」にしないことです。腰が浮いていると、そのぶん筋肉が張ってしまいます。

タオルの厚みは、たたみ方で調整してください。入れてみて楽に感じる厚さが、その方に合った厚さです。

⚠ タオルを入れて痛みが強くなったら、すぐにやめてください

考えられる理由は2つあります。ひとつは、タオルが厚すぎて反り腰が強くなっている場合。もうひとつは、もともと腰が浮いていないのに、体がタオルに沿って反ってしまっている場合です。

どちらの場合も、無理に続けると痛みが悪化することがあります。「入れたほうが楽」と感じないなら、この方法はご自身には合っていないということなので、行わないでください。

仰向けで休む時の図解。膝の裏に厚手のタオルを敷くと、背中が自然に丸まって楽になる

毎晩タオルを畳むのが手間に感じる方へ。この役目をそのまま道具にしたのが抱き枕です。記事の後半でタイプ別に紹介しています

横向きで寝る時|軽く丸くなるのが楽

横向きは、腰が痛い時に楽と感じる方の多い姿勢です。

  • 軽く丸くなって眠る——背中を丸めた姿勢は、腰の張りがゆるみやすくなります
  • 膝の間にクッションや抱き枕を挟む——上の脚が前に落ちないので、腰のねじれを防げます
  • 腰やくびれの隙間にタオルを入れる——仰向けの時と同じ考え方で、浮いた部分を埋めて圧力を分散します

片側だけ痛い時は、どちらを下にする?

腰の左右どちらかだけが痛む方から、時々いただく質問です。実は、これには決まった正解がありません。そのうえで、私の考えをお伝えしますね。

筋肉の張りが痛みの原因になっている場合は、痛む側を上にするほうが理屈は通ります。下になった側の筋肉は、体を安定させようとして固まりやすいからです。橋の下側にアーチがあって橋げたを支えているのと同じで、体も下側を固めて支えようとします。その働きが、張っている筋肉には負担になりやすい、という考え方です。

ただ実際には、上にしたほうが楽という方も、下にしたほうが楽という方もいらっしゃいます。ですので「どちらが正解か」より、「しっかりリラックスできる姿勢を見つけられたか」のほうが大事だと思っています。上下どちらも試してみて、体の力が抜けるほうを選んでください。

横向きで眠る時の図解。軽く丸まり、両脚の間に抱き枕やクッションを挟む

毎晩タオルを畳むのが手間に感じる方へ。この役目をそのまま道具にしたのが抱き枕です。記事の後半でタイプ別に紹介しています

うつ伏せは、あまりおすすめしていません

うつ伏せは腰が反りやすく、首も片方に向け続けることになるため、基本的にはおすすめしていません。

ただ、時々「うつ伏せで少し腰を反らすと楽になる」という方もいらっしゃいます。体は人それぞれなので、それで楽になるのであれば頭ごなしに否定はしません。楽になる姿勢と、つらくなる姿勢——ご自分の体の反応を目安にしてもらえたらと思います。

寝返りは、打てたほうがいい

「寝返りで目が覚めてしまう」という相談も受けますが、寝返り自体は体にとって必要なものです。

  • 体の一か所に、圧が集中し続けるのを防ぐ
  • 同じ姿勢を続けずに済む(座り方と同じ考え方です)
  • 血のめぐりを保つ・体温を調節する
  • 寝たきりの方では、床ずれの予防にもつながります

寝返りが打ちにくいと感じる方は、体が硬くなっているか、寝具が柔らかすぎて体が沈み込んでいる可能性があります。次のストレッチで体をほぐしてみてください。

寝ながらできるストレッチ4つ

布団やベッドの上でできるものです。朝、起きる前に行うのもおすすめです。回数は目安なので、気持ちよく感じる範囲で行ってください。

  1. 膝を抱え込む——仰向けで両膝を胸に近づけ、腕で抱えてゆっくり息を吐く
  2. 両膝を立てて、左右に倒す——膝を立てたまま、そろえた膝をゆっくり左右へ。腰がじんわりねじれます
  3. 腹式呼吸——お腹をふくらませるように吸い、ゆっくり吐く。力みが抜けます
  4. 足をクロスして、腰をひねる——片脚をもう一方の脚に交差させて腰をひねり、上半身は反対方向へゆっくりひねる

痛みが出る動きは中止してください。特に、ひねる動きで脚にしびれが出る場合は行わないでくださいね。

余裕が出てきたら|寝たままできるトレーニング

痛みが落ち着いてきたら、支える力を育てる運動も少しずつ取り入れてみてください。ストレッチだけでは、腰を支える力は増えないからです。

  • ブリッジ(お尻上げ)——膝を立てて、お尻をゆっくり持ち上げる
  • お尻の引き締め——お尻にきゅっと力を入れる
  • 寝ながら足踏み——腹式呼吸でお腹を軽くへこませたまま、脚を交互にゆっくり上げる。5秒くらいかけて動かすのがコツです
  • 膝倒しの抵抗運動——膝を立てて横に倒そうとするのを、ご家族に手で押さえてもらい、それに逆らうように力を入れる
  • キャットアンドドッグ(これだけは四つ這いで)——四つ這いになり、背中を丸める・ゆっくり戻すをくり返します。寝たままではありませんが、ベッドの上でできるので一緒に紹介します

いずれも、息を止めずにゆっくり行ってください。物足りなくなってきたら、道具を使ったトレーニングに進むのもよいと思います。

📎 自宅筋トレに必要な道具はこれ!おすすめグッズ10選と選び方を理学療法士が解説

腰に負担の少ない、ベッドからの起き上がり方

意外と見落とされがちなのですが、起き上がる時が一番痛いという方は多いです。ここはリハビリの現場で毎日お伝えしている部分なので、詳しく書きますね。

ベッドから起きる場合

  1. 両膝を立てる
  2. あごを軽く引いて、横を向く
  3. 上になった手を、遠くへ伸ばすようにする(肩が前に出て、体が回りやすくなります)
  4. 下になった腕は、肘で体を支える
  5. 両足をベッドの外へ下ろす——足の重みで頭が上がりやすくなります。やじろべえのイメージです

勢いをつけて腹筋で起き上がると、腰に負担が集中します。「横を向いてから、腕と足の重みを使って起きる」と覚えてください。

床から起きる場合

  1. まず横を向いて、しっかり四つ這いになる
  2. 片膝を立てる
  3. 立てた膝を手で押すか、そばの家具などにつかまって立ち上がる
起き上がる時のコツの図解。下の腕で上半身を支え、脚が落ちる反動を使って頭を起こす

寝具えらびについて

「マットレスを買い替えるべきですか」と聞かれることもありますが、合う硬さは体格や好みによって変わるので、一概には言えません。柔らかすぎて体が沈み込むものは寝返りが打ちにくくなる、という点だけ覚えておいてもらえたらと思います。

寝具と腰の関係については、別の記事でも触れています。

📎 骨盤の構造と腰痛・寝具との関係|理学療法士がやさしく解説

(こちらは少し専門寄りの内容ですが、骨盤のしくみから知りたい方はどうぞ)

抱き枕|横向きにも仰向けにも使えます

抱き枕というと横向き寝の道具というイメージがあるかもしれませんが、実はこの記事で紹介した寝方のほとんどに使えます

  • 横向きの時——膝の間に挟むと、上の脚が落ち込まず、骨盤と腰のねじれを防げます。下で紹介するような長めの抱き枕なら腕も乗せられて、肩と背中の力も抜けます
  • 仰向けの時——膝の下に入れれば、膝を軽く曲げた楽な姿勢を保てます

ひとつあれば両方に使えるので、寝具として長く役立ちます。

楽になる理由:体の隙間を埋めて、腰の一点に集まっていた体重を面で受けられるようにする。タオルと同じ理屈を、毎晩くり返し使える形にした道具です
向かない・注意:仰向けでよく眠れている方には必要ありません。大きめなので、寝返りの邪魔に感じる方も

まずはバスタオルを畳んだものや、家にあるクッションで一晩試してみてください。「これがあると楽だ」と実感できてから選ぶと、失敗がありません。

タイプと価格帯の違うものを3つ挙げておきます。

タイプこんな方に価格
冷感カバー付きまず手ごろに試したい。夏も使いたい2,980円前後
日本製ロング余計な機能はいらない。腕まで乗せたい3,980円前後
体にフィットするタイプ隙間の埋まり方を細かく合わせたい9,900円前後

※価格はいずれも2026年8月時点のものです。

手ごろに始めるなら——カバーを外して洗える冷感タイプ。夏の寝苦しい時期にも使いやすいです。価格は2,980円前後(2026年8月時点)。

シンプルさで選ぶなら——余計な機能のない、日本製のロングタイプ。長さが選べるので、背の高い方や、脚全体で抱えたい方にも合わせやすいです。価格は3,980円前後(2026年8月時点)。

体にフィットするタイプ——中の素材が体の形に沿って変わるので、隙間の埋まり方が細かく調整できます。価格は9,900円前後(2026年8月時点)です。

動いていい痛みか、休むべき痛みか迷ったら、見分け方をこちらにまとめています。

📎 腰が痛い時にやってはいけないこと|痛みの見分け方を現役PTが解説

病院に行くタイミング

次のような場合は、寝方の工夫より先に受診をおすすめします。

  • 脚のしびれを伴う
  • 横になっていても、じっとしていても痛む
  • 夜、痛みで目が覚める日が続いている
  • 痛みがだんだん強くなってきている

🚑 すぐに受診してほしい場合
おしっこや便が出にくい・漏れる、脚に急に力が入らない——このような症状がある時は、様子を見ずに今すぐ受診してください。

そしてもうひとつ、現場からの目安をお伝えします。「生活の中でどうしても避けられない動作」や「これからも続けたいこと」でいつも痛むなら、受診してよいタイミングだと思います。眠ることは、どうしても避けられない時間です。夜の痛みが続いているなら、我慢の対象ではありません。

まとめ|浮いた隙間を埋めて、体重を分散する

  • 寝方の基本は「浮いている場所をタオルなどで埋めて、圧力を分散する」
  • 仰向けなら膝の下に、横向きなら膝の間と腰の隙間に
  • うつ伏せはおすすめしないが、楽になる方もいる
  • 寝返りは体に必要なもの。打ちやすい体と寝具を
  • 起き上がりは、横を向いてから腕と足の重みを使う
  • しびれ・安静時の痛み・夜間の痛みが続くなら、受診してよい

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