退院が近づくと、ご家族からよく聞かれる質問があります。「リハビリシューズって買わないとだめですか? 普通のスニーカーじゃだめですか?」
先に答えを言うと、普通のスニーカーでも、もちろん大丈夫です。そのうえで、リハビリシューズにしかない良さもあって、「今どの時期か」で向き不向きが変わります。

病院で「リハビリシューズを用意して」と言われたんだけど、普通の靴と何が違うの?

違いは3つです。脱ぎ履き・むくみ・室内での歩きやすさ。逆に、外を歩く練習が進むと普通の靴のほうが良い場面も多いんですよ
この記事では、病院勤務の理学療法士が、リハビリシューズと普通のスニーカーの違いと、「うちの親はどっち?」の判断軸を解説します。
先に結論
室内中心・脱ぎ履きに手がかかる・足がむくむならリハビリシューズ。外を歩く練習が進んできたら、普通のスニーカーに戻していくのが現場の実感です。
リハビリシューズと普通のスニーカー、何が違う?
| リハビリシューズ | 普通のスニーカー | |
|---|---|---|
| 脱ぎ履き | ◎ 大きく開いて面ファスナー | △ 靴ひも・かかとが硬い |
| むくみ | ◎ 幅・甲の高さを調整できる | △ 夕方きつくなることも |
| 室内での歩きやすさ | ◎ 軽くて柔らかい・滑りにくい | ○ |
| 外を長く歩く | △ 底が柔らかめ | ◎ 底がしっかり・かかとが安定 |
| 価格の目安 | 5,000〜8,000円前後 | 幅広い |
① 脱ぎ履きのしやすさ
リハビリシューズは、甲の部分が大きく開いて面ファスナーで留める作りが基本です。かがむのがつらい方、片手しか使えない方でも自分で履けることが多く、「自分で靴を履ける」ことが、外に出る気持ちを支えます。介助する側の負担も減ります。
② むくみへの対応
入院中や退院直後は、足がむくんで夕方にサイズが変わる方が珍しくありません。リハビリシューズは幅(ワイズ)の種類が多く、面ファスナーで甲の高さも調整できるので、朝と夕方でフィット感を変えられます。普通のスニーカーだと「朝は履けたのに夕方きつい」が起きやすいところです。
③ 室内での歩きやすさ
軽くて柔らかく、床で滑りにくい底になっているものが多いので、病棟や自宅の中を歩く分にはとても快適です。まだ室内中心の時期には、この軽さが大きな味方になります。
ただし、外を歩く練習が進んだら「普通の靴」の出番です
ここが意外と知られていないところです。リハビリが進んで、外を歩く練習を始める段階になると、むしろ「普通の靴」を使いたい場面が多くなります。
理由は、リハビリシューズの「軽くて柔らかい」という長所が、外では短所になりうるからです。アスファルトや段差、長い距離を歩くには、底がしっかりしていて、かかとがきちんとホールドされる靴のほうが安定します。現場でも、外歩きの練習では「いつも履いていたスニーカーを持ってきてください」とお願いすることがよくあります。
つまり、リハビリシューズは「ずっと履き続けるもの」ではなく、回復の一時期を支える靴と考えると、買うかどうかの判断がしやすくなります。
うちの親はどっち?|3つの判断軸
| 状況 | 向いているのは |
|---|---|
| まだ室内中心で、脱ぎ履きに介助がいる | リハビリシューズ |
| 足のむくみが日によって・時間帯で変わる | リハビリシューズ |
| 外を歩く練習が始まった・散歩に出られる | 普通のスニーカー(履き慣れたもの) |
| 普段からスニーカーで問題なく歩けている | そのままでOK。無理に買い替えない |
迷ったら、担当のリハビリスタッフに「今の時期はどっちが合っていますか」と聞いてみてください。歩き方を毎日見ている人が、一番確かな答えを持っています。
病棟でよく見かけるリハビリシューズ2つ
「どれを買えばいいか分からない」という方のために、病院や施設で実際によく目にする2つを挙げておきます。どちらも面ファスナー式で、幅の種類が豊富です。私が全員にすすめているわけではなく、本人の足と今の時期で選んでください。
あゆみ(徳武産業)
病院・施設で見かける頻度が一番高い、いわば定番です。室内用から外出用まで種類が多く、むくみで左右の足のサイズが違う方向けに、片足ずつ買えるサービスがあるのも特徴です。まず「リハビリシューズとはこういうもの」を知るならここからで間違いありません。
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快歩主義(アサヒシューズ)
とにかく軽いのが売りで、見た目もスニーカーに近い作りです。外を歩く練習に移っていく時期にも使いやすく、「リハビリシューズっぽい靴は嫌がる」という方に受け入れられやすい印象があります。
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※価格はどちらも5,000〜8,000円前後が目安(2026年9月時点)。サイズ・幅は必ず本人の足に合わせてください。
靴を選ぶときに、共通して見てほしいこと
- かかとがしっかりしている——指でつまんで簡単につぶれる靴は、足がぐらつきやすいです
- つま先が少し上がっている——つまずき予防になります
- 底が滑りにくい——室内用でも外用でも共通です
- 本人が「履きたい」と思える見た目——履かれない靴は、どんなに機能が良くても意味がありません
選び方の4つのポイント(かかと・履きやすさ・軽さ・サイズ)と具体的な6足は高齢者の靴のおすすめ6選でくわしく解説しています。
よくある質問
Q. サイズは普段と同じでいい?
むくみがある方は、夕方の一番むくんでいる時間帯に試すのが安全です。朝ぴったりの靴は、夕方に入らなくなることがあります。通販で買う場合は、幅(ワイズ)の表記を確認し、できれば返品・交換ができる店を選んでください。
Q. 病院で「リハビリシューズを用意して」と言われた。買わないとだめ?
まずは病院に「普段のスニーカーではだめですか」と聞いてみてください。かかとが硬くて脱ぎ履きが大変、むくみで入らない、といった理由があれば必要ですし、そうでなければ手持ちの靴で始められることもあります。
Q. 敬老の日などに靴を贈るのは?
喜ばれる贈り物ですが、サイズと幅は必ず本人に合わせてから。できれば一緒に選ぶか、交換できる店で。「歩くための道具」としての靴選びは敬老の日の実用的なプレゼントでもまとめています。
⚠ こんなときは専門家に相談を
- 足に傷や変形があり、靴が当たって痛む
- 片方の足だけ極端にむくむ
- 歩き方に大きな左右差がある
まとめ
普通のスニーカーで大丈夫。ただし室内中心・脱ぎ履きに手がかかる・むくむ時期はリハビリシューズが役に立ち、外を歩く練習が進んだら普通の靴に戻していく——それが現場の実感です。靴は「今の時期に合っているか」で選んであげてください。
杖や歩行器と違って、靴は介護保険のレンタル対象ではなく購入になります。歩行補助具の借り方は杖や歩行器はレンタルと購入どっち?で解説しています。
靴のことで迷ったら、お気軽にお問い合わせください。それではまた、お大事に!


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