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📅 2026年8月公開
「介護の息抜きなんて、できる状況じゃない」——そう感じながら、このページを開いた方が多いのではないでしょうか。
私は病院で理学療法士として働いていて、入院中の患者さんのご家族と毎日のように顔を合わせます。仕事の合間を縫って面会に来る方。疲れがたまって、ご本人の話にうまく相づちを打てなくなっている方。面会の時間、ご本人はベッドで眠っていることも多く、ご家族は弱っていく姿ばかりを見ることになりがちです。だからこそ、リハビリの進捗をお伝えすると「そんなに歩けたんですか」と表情がふっとゆるむ。その瞬間に、ご家族がどれだけ張りつめて過ごしているかが伝わってきます。
この記事では、現役の理学療法士が、介護をする人にこそ息抜きが必要な理由と、家の中で・短い時間からできる休み方をまとめました。読み終わる頃に「少し休んでもいいのかも」と思ってもらえたらうれしいです。
イライラしてしまうのは、本気で向き合っているから
介護をしていると、つい強い口調になってしまい、夜になって「なんであんな言い方をしたんだろう」と落ち込む——そんな繰り返しに疲れている方は少なくありません。ネット上の相談を読んでいても、「怒ってしまって自己嫌悪で涙が止まらない」という声はとても多いです。
ここで、私が大切にしている考え方をお伝えさせてください。
本気で取り組んでいるからこそ、怒るし、イライラする。
どうでもいいことなら、怒らずに笑って流せるはずです。泣きたくなるのも、本気で向き合っているからこそ。

イライラや涙は「介護に向いていない証拠」ではなく、本気で向き合っている証拠だと私は考えています。まずは、ご自身を責めることから少しだけ離れてみませんか。
休むことは「介護の一部」です
「自分だけ休むのは申し訳ない」という気持ちも、よく分かります。ただ、リハビリの現場にいると、介護する人の疲れは、介護される側にも伝わると感じる場面が多いです。こちらに余裕がない日は、相手も緊張しやすい。逆に、しっかり休んで気持ちに余裕があると、同じ声かけでも穏やかに届きます。

それに、立場を入れ替えて考えてみてください。体を壊してまで面倒をみてほしいと願う親は、あまりいないのではないでしょうか。
「レスパイトケア」——家族が休むための制度があります
実は、介護する家族が休むこと自体を目的にしたサービスの使い方があり、「レスパイトケア」と呼ばれています。レスパイトは「小休止」という意味。ショートステイやデイサービスを家族の休息のために使うのは、制度として認められた立派な使い方です。
私の勤め先の病院でも、レスパイト目的の入院(レスパイト入院)はよくあります。なかには、ご家族が旅行に行く間の介護を入院で代わる、という使い方をされる方も実際にいらっしゃいます。「そんな理由で預けていいの?」と思うかもしれませんが、家族の休息は利用理由として珍しいものではありません。
ただし、レスパイト入院の主な対象は、たんの吸引や経管栄養など、医療的なケアが必要で、介護保険のショートステイでは預かりが難しい方です(期間は2週間以内が目安の病院が多いです)。医療的なケアが特にない場合は、まずショートステイが受け皿になります。
また、リハビリを行う病棟で受け入れている病院では、入院中に体の状態の点検や、自宅でできる自主練習の指導といったリハビリを受けられることもあります。私も、レスパイト入院中の方のリハビリを担当することがあります。ご本人の体のメンテナンスを兼ねられるのは、入院ならではの良さだと思います。

なお、レスパイト入院は医療保険を使った入院で、介護保険のショートステイとは費用のしくみが異なります。自己負担額は病院や所得によって変わるので、詳しくは担当のケアマネジャーさんやかかりつけの病院に「レスパイトでの利用はできますか」と聞いてみてください。
家の中で、短い時間からできる息抜き
「預けて外出」だけが息抜きではありません。目が離せない状況でも、できることはあります。お金のかからないものから紹介します。
- 親の好きな音楽を一緒に流す——昔の歌を一緒に口ずさむうちに、部屋の空気がやわらぎます。「音楽の時間だけは笑って過ごせる」という声もあり、私のおすすめです。
- おいしいものを「一緒にどうぞ」——ちょっといいお菓子やお茶を、自分のためではなく「2人のため」に用意する。息抜きと親孝行が同時にできて、罪悪感が出にくい方法です。
- 湯船に10分つかる——忙しいとシャワーで済ませがちですが、そういう時期こそ湯船へ。体のこわばりがゆるみやすくなります。
- 1日1時間だけ離れる時間を決める——「ずっとそばにいる」より、短くても確実に離れる時間がある方が、お互いに穏やかに過ごせることが多いです。
⚠ 大きな散財より、小さな満足を
ストレスがたまると、一気にお金を使って発散したくなることがあります。ただ、あとから罪悪感で余計に落ち込んでしまったという声も聞きます。数百円の「小さな満足」を毎日に散らす方が、続けやすくおすすめです。

現場でよく聞く息抜きグッズ|どれも1,600円まで
ここからは、患者さんやご家族との会話でよく話題になる「家でできるごほうび」を紹介します。一番高いものでも1,600円ほど、入浴剤は1回あたり数十円です。大げさな道具はありません。
①炭酸系の入浴剤——10分の入浴を「ごほうび」に変える
湯船に10分つかるなら、入浴剤をひとつ入れるだけで「作業」が「ごほうび」に変わります。
※熱いお湯での長風呂はかえって疲れることがあります。ぬるめ(38〜40度くらい)で短めが目安です。肌が敏感な方は成分をご確認ください。
800円前後・1回あたり数十円です(2026年8月時点)。※つめかえ用ですが、本体ボトルがなくてもそのまま計量して使えます。
②蒸気でホットアイマスク——寝る前の15分に
目もとを温めると、1日の緊張がふっとゆるむ、という方が多いです。布団に入ってからでも使えるのが良いところ。
※使い切りタイプです。熱すぎると感じたらすぐ外してください。
1,600円前後です(2026年8月時点・送料はショップにより異なります)。
③あずきのチカラ 首肩用——介護で凝りがちな首と肩に
電子レンジで温めて繰り返し使えるタイプ。介護の動作は前かがみが多く、首や肩が凝りやすいので、夜のリセットに向いています。
※温めすぎ・同じ場所への長時間の使用は低温やけどのおそれがあります。表示の時間を守ってお使いください。
1,500円前後+送料です(2026年8月時点)。
④ちょっといいお茶——「一緒にどうぞ」の時間をつくる
自分ひとりのためだと買いにくいものも、「親と一緒に飲む用」なら手が伸びます。お茶をいれる数分間が、そのまま小さな休憩になります。
※緑茶にはカフェインが含まれます。夜遅くに飲むと眠りに響く方は、夕方までの一杯がおすすめです。
1,400円前後です(2026年8月時点・送料はショップにより異なります)。
介護で、自分の腰や肩を痛めていませんか?
介護は前かがみや持ち上げる動作が多く、介護する側が腰を痛めてしまう例は、現場でも本当に多いです。あなたの体は、介護を続けるための大切な資本です。腰や体のケアはこちらの記事にまとめています。
限界を感じたら|ひとりで抱えないための窓口
眠れない日が続く、涙が止まらない、強く当たってしまいそうになる——そんなサインが出ているときは、息抜きの前に、まず誰かに相談してください。
「うちの場合はどうなんだろう?」と思ったら
お住まいの地域の地域包括支援センター(「お住まいの市区町村名+地域包括」で検索)が、介護の困りごとの総合窓口です。介護サービスのことも、ご家族自身の負担のことも、無料で相談できます。
在宅介護の限界サインについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
在宅介護に限界を感じたら|PTが見てきた「頑張りすぎる家族」の話
まとめ|休むことも介護のうち
- イライラや涙は、本気で向き合っている証拠
- 介護する人の疲れは相手にも伝わる——だから、休むことは介護の一部
- レスパイトケア(ショートステイ・レスパイト入院)は、家族が休むための正式な使い方
- 家の中で・短い時間・小さな満足から。大きな散財より続けやすい
- 限界のサインが出ていたら、地域包括支援センターへ
介護は長く続くものだからこそ、休み方も介護の技術のひとつだと思っています。今日、湯船に10分つかることから始めてみませんか。
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