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「お母さん、玄関の段差でよろけてて…どうにかならないかな」
そんな相談を、患者さんのご家族からよく受けます。
玄関は毎日必ず通る場所でありながら、高齢者にとって転倒リスクが特に高い場所でもあります。段差・暗さ・靴の着脱という複数のリスクが一度に重なるからです。
この記事では、理学療法士として患者さんの自宅を数多く訪問してきた経験から、「本当に必要な玄関の安全グッズ」を厳選して5つ紹介します。工事不要・自費で買えるものを中心に選んでいますので、今日から行動できます。
玄関安全グッズ|まず結論から
先に結論だけ確認したい方はこちら。
🥇 1位:置き型手すり(上がり框用)
工事不要で設置できる玄関専用の手すり。段差の昇り降りと靴の着脱の両方をサポート。
🥈 2位:玄関用腰掛けベンチ
座って靴を着脱できる環境をつくる。立ったまま靴を履くことによる転倒を根本から防ぐ。
🥉 3位:踏み台(上がり框用)
上がり框の段差を2段階に分ける。足を大きく上げる必要がなくなり転倒リスクが下がる。
4位:センサーライト(足元灯)
暗い玄関での転倒を防ぐ。夜間の帰宅・外出時に自動点灯。コンセント式で電池不要。
5位:段差スロープ(介護保険も視野に)
スロープが必要な段差レベルなら、介護保険の住宅改修も検討できる。まずケアマネさんへ相談を。
「どれが必要かわからない」という方は、このまま読み進めてください。それぞれ守れるリスクが違います。
なぜ玄関は転倒が起きやすいのか
理学療法士として多くの患者さんの自宅を訪問してきましたが、玄関には転倒につながる要因が重なっています。
玄関の3大リスク
- 段差(上がり框):日本の住宅の上がり框は10〜25cm程度。足を大きく上げる動作はバランスを崩しやすい
- 靴の着脱動作:立ちながら靴を履こうとすると、片足立ちになる瞬間が生まれる。この瞬間が最も危険
- 暗さ:玄関は窓が少なく暗くなりがち。特に夜間の帰宅・外出時に足元が見えにくい
さらに「靴箱につかまって段差を昇り降りしている」という方が非常に多いのですが、靴箱は転倒防止用に設計されていないため、体重をかけると傾いて転倒する危険があります。また、表面がつるつるしている靴箱は手が滑りやすく、つかんだつもりでも支えにならないこともあります。手すりの設置が何より重要です。
PTが選ぶ玄関の安全グッズ5選
🥇 ① 置き型手すり(上がり框用)
玄関の安全対策で最初に取り組むべきはこれです。
患者さんのご家族に「玄関で親が危なかった」という話を聞くと、ほぼ必ずと言っていいほど「つかまるものがなかった」というケースです。
🩺 PTひとこと
臨床現場では、靴箱につかまって段差を昇り降りしている患者さんをよく見かけます。何もつかまらないよりはましですが、靴箱は転倒防止用に設計されていません。手すりに変えるだけで安全性が大きく変わります。
こちらの「楽々健」の置き型手すりは福祉用具専門相談員が開発監修に関わっており、上がり框専用の設計になっています。高さが4段階(79・81・83・85cm)で調整できるため、親御さんの身長に合わせられるのもポイントです。天然木を使ったデザインで、玄関に置いても違和感がありません。
🥈 ② 玄関用腰掛けベンチ(手すり付き)
「座って靴を履く」習慣をつくることが転倒予防の基本です。
理学療法士として患者さんに必ず伝えることのひとつが、「立ちながら靴を履かないこと」です。
🩺 PTひとこと
立ったまま靴を履こうとすると、必ず片足立ちになる瞬間が生まれます。この瞬間が最も転倒しやすい。さらに踵がしっかり入らないまま歩き出すと、その後つまずく原因にもなります。座って履く→踵まで入れる→立ち上がるという順番が安全です。
この記事の内容と合わせて、履きやすい靴の選び方も見直すと玄関まわりの安全がさらに高まります。
この腰掛けベンチは手すり付きで立ち上がりをサポートしてくれる点が気に入っています。さらにシューズラックとしての収納スペースがあるため、玄関に置いても邪魔になりにくく実用的です。
🥉 ③ 踏み台(上がり框用)
上がり框の段差が高い家では、踏み台が大きな助けになります。
私自身、祖母が実家に遊びに来た際に上がり框が高くて困ったため、踏み台を用意したことがあります。段差を一気に上がろうとすると足を大きく持ち上げる必要がありますが、踏み台を挟むことで2段階の動作に分割でき、格段に安全になります。
🩺 選ぶときのポイント
- 幅は広めを選ぶ:幅が広いほど足を乗せやすく、バランスを取りやすい。この商品は幅60cmあり安心感があります
- 高さは上がり框の半分程度が目安:この商品は高さ14cm。15〜25cm程度の框に特に使いやすいサイズ感です
- 踏み台自体がずれないか確認する:床材によっては滑ることがあるため、裏面の滑り止めや設置後のガタつきを確認してから使いましょう
4位 ④ センサーライト(足元灯)
夜間の帰宅・早朝の外出時、玄関が暗くて足元が見えないことが転倒のきっかけになります。
高齢になると暗いところで目が慣れるまでの時間が長くなり、明暗の差に対応しにくくなります。コンセントに差し込むだけで使えるセンサーライトは、電池不要・取り付け簡単で最もコストパフォーマンスの高い対策のひとつです。
🩺 PTひとこと
「明るければ転ばない」とは言い切れませんが、暗さは確実にリスクを上げます。コンセント式なら電池切れの心配もなく、人が通ったときだけ点灯するので電気代もほぼかかりません。寝室・廊下の安全記事でも紹介しているアイテムです。
5位 ⑤ 段差スロープ|実は手すりや踏み台の方が有効なことが多い
「段差があるからスロープを置きたい」という相談を受けることがあります。気持ちはよくわかるのですが、理学療法士として正直にお伝えすると、玄関の段差にはスロープより手すり+踏み台の方が安全で、対策しやすいことがほとんどです。
階段や段差は、正しく使えばむしろ安全な動線になります。足をしっかり上げる練習にもなりますし、スロープの方が滑りやすく転倒リスクが高まる場合もあります。スロープへの改修は、どうしても段差を越えられない方の最終手段と考えるのがよいでしょう。
💡 スロープが必要になったら介護保険も確認を
- 要介護・要支援の認定を受けていれば、「住宅改修」として段差解消工事に最大20万円まで介護保険が使えます
- 自己負担は原則1〜3割(所得によって異なります)
- まずはケアマネジャーさん・地域包括支援センターに相談を。PTやOTが一緒に自宅を確認してくれることもあります
PTが見てきた「やってはいけないこと」
グッズを揃えることと同じくらい大切なのが、危険な行動パターンをなくすことです。
❌ 靴箱につかまって段差を昇り降りする
最もよく見かける行動です。何もつかまらないよりはましですが、靴箱は固定されていないことも多く、体重をかけると傾くことがあります。また表面が滑って手が外れてしまうこともあります。できれば手すりへの切り替えを検討してみてください。
❌ 立ったまま靴を履く
片足立ちになる瞬間が転倒リスクの最も高い瞬間です。また踵がしっかり入らないまま歩き出すと、その後つまずく原因にもなります。必ず腰掛けてから履く習慣をつけてください。
❌ 玄関マットを敷く
汚れ防止や雰囲気づくりで玄関マットを敷いているご家庭は多いですが、マット自体がつまずきの原因になります。特に端がめくれたマットは非常に危険です。介護目的ではマットを外すことをお勧めします。
❌ 玄関に物を置きすぎる
「いざというときにつかまれる場所を確保すること」が玄関安全の基本です。靴箱の上に置物があるとしっかりつかまれません。玄関はシンプルに保つことが転倒予防になります。
まとめ
📌 玄関の安全対策|優先順位
- 手すりを設置する(靴箱につかまるのをやめる)
- 腰掛けベンチを置く(立ちながら靴を履かない)
- 踏み台を用意する(上がり框が高い場合)
- センサーライトをつける(暗さを解消する)
- 大きな段差はケアマネに相談(介護保険の住宅改修も選択肢)
グッズを揃えることも大切ですが、「靴箱につかまらない」「座って靴を履く」という行動の変化がいちばんの転倒予防になります。ぜひ親御さんに伝えてあげてください。


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