介護保険の申請から認定までの流れ|損しない受け方をPTが解説

「そうだんまどぐち」で、若い猫が看護師姿のリスと机をはさんで介護保険の申請書類を一緒に見ながら相談し、ほっとした表情を浮かべている、あたたかな部屋のイラスト 介護
ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で毎日、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合っています。
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「親に介護が必要かもしれない。でも介護保険って、何から手をつければいいの?」——手続きが難しそうで、つい後回しにしてしまう方も多いと思います。

理学療法士として、申請の前後にいる患者さんやご家族をたくさん見てきました。この記事では、申請から認定までの流れと、現場で感じる「損しないためのコツ」を、できるだけやさしく解説します。

介護保険は「すでに払っているもの」。使わないと損です

最初にお伝えしたいのは、介護保険料は40歳から、みんなが払っているということです。つまり、介護保険を使うのは特別なことでも、恥ずかしいことでもありません。払ってきたものを、必要なときに使うだけです。

「介護保険を申請する」という言葉に、どこか後ろめたさを感じる方もいます。でも、その気持ちはいりません。必要性が認められて使えるなら、使えるようになったら使うべき——私はそう思っています。とくに福祉用具のレンタルは、生活がぐっと楽になり、金銭的な負担も大きく減ります。

申請から認定までの流れ(5ステップ)

全体の流れは、次の5ステップです。

  1. 申請する……市区町村の窓口、または地域包括支援センターで申請します。
  2. 認定調査+主治医意見書……調査員が自宅や病院を訪問し、心身の状態を聞き取り・確認します。あわせて、主治医が意見書を作成します。
  3. 一次判定……調査結果をもとに、コンピュータが介護の必要度を判定します。
  4. 二次判定(介護認定審査会)……専門家が、一次判定と主治医意見書を見て最終的に判定します。
  5. 認定の通知……原則として、申請から30日以内に結果が郵送で届きます。

結果は「非該当/要支援1・2/要介護1〜5」のいずれかで通知されます。

申請のしかた|どこに・誰が・何を持って

じつは、今の状況によって「まず相談する先」が変わります。あわてて自分だけで進めず、まずは下のどちらかへ。

  • 自宅で暮らしている場合……市区町村の介護保険窓口、または地域包括支援センターへ相談します。
  • 入院中の場合……まず病院のソーシャルワーカー(SW)や退院支援看護師に相談してください。多くの病院では、こうしたスタッフが申請を代行してくれます。自分だけでどんどん進めようとせず、まず院内のスタッフに声をかけるのが、確実で安心です。
  • 窓口:お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または地域包括支援センター
  • 申請できる人:本人のほか、家族でも申請できます(ケアマネや地域包括に代行してもらうことも可能)
  • 持っていくもの:介護保険被保険者証(65歳になると届きます)、本人確認書類など。40〜64歳の方は医療保険証も必要です

対象になるのは、65歳以上の方と、40〜64歳で特定の病気(特定疾病)がある方です。「うちは対象になる?」と迷ったら、まず地域包括支援センターに電話して聞くのが確実です。

在宅介護に限界を感じたら|PTが教える家族の限界サインと対処法(地域包括支援センターの使い方もこちらで解説しています)

【PTから】認定調査で「損しない」3つのコツ

ここがいちばん大切なところです。認定調査の伝え方で、判定(介護度)は変わることがあります。

① 「できる」ではなく「普段の状態」を伝える

本人は、調査員の前でつい見栄を張って「できます」と言ってしまいがちです。でも、たまにできること毎日安全にできることは違います。調子の良い日・悪い日のムラや、「やってみせられるけど、普段は転びそうで危ない」といった実情を、家族がそばで補足してあげてください。

② 困っていることを、具体的にメモしておく

調査は短時間です。その場で思い出すのは大変なので、「夜中に何度もトイレで起きて転びかけた」「お風呂で立てなくなった」など、困りごとを事前にメモして、調査員に渡すか読み上げると、実情が正確に伝わります。

③ 入院中の調査は「低めに出やすい」ことを知っておく

これはPTとしての実感ですが、入院中の認定調査は、本来より軽く(低く)判定が出ることがあります。入院中は、医師が安全のために動作を制限していたり(安静度)、まだ十分に動けない時期だったりするためです。逆に、退院して自宅に戻ると状況が変わることもあります。

調査のときは、「自宅に戻るとこういう生活になる」「今は安静中だが本来はここが大変」といった退院後の生活を見すえた情報も、あわせて伝えるとよいです。

区分(要支援・要介護)と、現場で感じること

  • 非該当……介護保険のサービスは対象外(地域の支援は使えることも)
  • 要支援1・2……生活の一部に支援が必要。介護予防のサービスが中心
  • 要介護1〜5……数字が大きいほど、必要な介護が多い状態

正直にお伝えすると、区分の数字と、実際の「動ける・動けない」は、必ずしも一致しません。同じ要介護2でも、よく動ける方もいれば、ほとんど動けない方もいます。区分はあくまで目安と考え、本人の実際の生活に合わせてサービスを組むのが大切です。そこはケアマネジャーが一緒に考えてくれます。

認定が出たら|そして、実は「認定前」から使えます

認定が出たら、ケアマネジャー(要支援は地域包括支援センター)がケアプランを作成し、デイサービスや訪問介護、福祉用具レンタルなどのサービスが始まります。費用は原則1割負担(所得により2〜3割)です。

意外と知られていませんが、認定の結果を待っている間も、サービスを使い始めることができます(暫定ケアプラン)。認定は申請日にさかのぼって有効になるためです。「退院に間に合わせたい」というときに役立ちます。

ただし注意点として、万一「非該当」になった場合は、その間の費用が全額自己負担になることもあります。暫定で早めに使いたいときは、必ずケアマネや地域包括に相談しながら進めてください。

とくに福祉用具のレンタルは、少ない負担で手すりや歩行器、介護ベッドなどを借りられ、生活がぐっと楽になります。「買うと高いもの」を借りられるのは、介護保険の大きなメリットです。

知っておきたい注意点

思ったより時間がかかる。入院中に進めておくと安心

申請から認定まで、原則30日かかります。実際には、もう少しかかることもあります。入院しているなら、退院を待たずに入院中から動いておくと、退院後の生活にスムーズにつながります。

とはいえ、入院中は自分だけで進めようとせず、病院のソーシャルワーカー(SW)や退院支援看護師に、まず相談してください。申請の代行も含めて、いちばん良いタイミングと進め方を一緒に考えてくれます。

リハビリは「介護保険側」に移ることがある

これは知っておくと驚かずにすみます。要介護認定を受けて介護保険のリハビリ(通所リハ・訪問リハ)を使うと、同じ病気についての医療保険の外来リハビリは、原則として続けられなくなります。リハビリの場が「病院(医療保険)」から「介護保険のサービス」へ移るイメージです。今リハビリに通っている方は、主治医やケアマネに確認しておくと安心です。

まとめ

  • 介護保険料は40歳から払っているもの。使えるなら、後ろめたさなく使ってOK
  • 流れは「申請→認定調査+主治医意見書→判定→認定通知(原則30日)」
  • 申請は市区町村か地域包括支援センターへ。家族でもできる
  • 認定調査では「普段の状態」を正直に。入院中は低く出やすいので退院後も見すえて伝える
  • 認定前から暫定で使えることも。福祉用具レンタルは負担が軽く便利
  • 申請は時間がかかるので入院中など早めに

手続きは、一人で抱えなくて大丈夫です。まずは地域包括支援センターに電話すれば、ここから先を一緒に進めてくれます。

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