高齢の親の配食サービス|介護保険は使える?自治体の助成と使い分けを現役PTが解説

高齢の親の配食サービス|介護保険は使える?1日1食からの始め方(アイキャッチ画像) 介護
ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で毎日、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合っています。
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📅 2026年7月公開

「親の食事、ちゃんとできているだろうか」——仕事をしながら、あるいは離れて暮らしながら、毎日の食事まで支えるのは本当に大変です。そして、それはあなたの頑張りが足りないからではありません。

理学療法士として退院支援の場面に関わってきた中で、この心配には「配食サービスを上手に足す」という現実的な答えがあることを何度も見てきました。この記事では、現場で実際にされている配食の使い方と、気になる費用の話——介護保険は使える?自治体の助成は?——を順にお伝えします。

現場の種明かし|配食は「全部おまかせ」ではなく「1日のピース」

まず、いちばん大事なことから。病院の退院支援で配食の話が出るとき、「三食ぜんぶ配食にしましょう」とはなりません。実際によくあるのは、こんな提案です。

朝はパンなど簡単なもの、昼は配食サービス、夜は家族の作り置き——というように、各家庭の事情に合わせた方法に、配食を「プラス」する。

たとえば「朝と夜は家族が一緒にいるけれど、昼だけ仕事でいない」というご家庭なら、昼だけ配食。配食は1日の中の空いたピースを埋める道具——そう考えると、無理なく取り入れられます。1日1食、昼だけから、で十分です。最初は、帰省したときなどに親子で一緒に食べてみるのもおすすめです。味が分かると、「これなら続けられそうだね」と、その後の話がぐっと進めやすくなります。

配食は1日のピースの図解。朝はパンなど簡単なもの、昼は配食、夜は作り置き——ぜんぶ変えなくてOK、1日1食から始める

理学療法士から見た配食|食べることは、動くことの土台です

ここで少しだけ、リハビリ職としての視点を。現場にいると、食事と体力は車の両輪だと痛感します。栄養が足りていない方は、リハビリを頑張っても筋力がつきにくく、疲れやすく、転倒のリスクも上がります。逆に、食事が整うと動ける量が増える。動けばお腹がすく。そしてまた食べられる——この循環が回り始めた方は、目に見えて元気になっていきます。

だから私は、配食サービスを「家事の外注」ではなく、「体力の土台づくり」の道具として見ています。管理栄養士が監修したバランスの食事が定期的に入ることは、リハビリ職の目から見ても大きな意味があります。

🌱 PTのひとこと:ひとつだけ気をつけてほしいのは、できることまで配食に置き換えないことです。ご飯をよそう、お茶を入れる、食器を下げる——こうした小さな役割は、立って歩く毎日の運動でもあります。「調理は配食に任せて、盛り付けとお茶は本人の仕事」くらいの分担が、体にはちょうどいい。その意味で、「おかずだけ」のセットを選んでご飯を炊く仕事は残すのも、実は理にかなった形です。

小さな役割を残す工夫の図解。ご飯をよそう家事も、立って歩く大切な運動になる

費用の話|介護保険は使える?——答えと、2つの道

先に答えを言うと、配食サービスに介護保険(1〜3割負担の給付)は使えません。食費はもともと介護保険の対象外だからです。

「じゃあ全額自費か…」と閉じる前に、知ってほしい道が2つあります。

  • ① 市町村の配食サービス(助成つき)——多くの市町村が、高齢の方向けの配食事業を独自にやっています。自己負担を抑えられて、手渡しの安否確認を兼ねるものが多いのが特徴です
  • ② 民間の冷凍宅配弁当——全国どこでも頼めて、管理栄養士監修や減塩タイプも選べます。助成の対象にならない方や、回数を足したい日の選択肢です

順に説明します。

① 市町村の配食サービス|安否確認を兼ねた見守りのしくみ

多くの市町村では、高齢の方向けの配食サービスを実施しています。お弁当を手渡しで届けることで、安否確認を兼ねる設計になっているものが多く、離れて暮らすご家族にとっては「食事」と「見守り」の一石二鳥です。たとえば名古屋市のように、要介護の方向け・要支援の方向けなどの区分を設けて運営している自治体もあります。

⚠️ 内容は市町村ごとに違います

対象になる方・自己負担額・週に何回頼めるか——すべて自治体ごとに違います。調べ方は2つ。「(お住まいの市町村名) 配食サービス」で検索するか、ケアマネジャーさん・地域包括支援センターに「配食の助成はありますか?」と聞くのが確実です。

② 民間の冷凍宅配弁当|「CMでやってるやつ」の実力

助成の対象にならない方や、「もう少し回数を増やしたい」「まず気軽に試したい」という場合は、民間の冷凍宅配弁当が選択肢になります。

現場でも、患者さんから「冷凍もおいしいのよ。CMでやってるやつあるでしょ?」と聞いたことがあります。最近の冷凍宅配は管理栄養士監修で、減塩・塩分調整タイプも選べるようになっていて、血圧を気にされている親御さんにも合わせやすくなりました。目安は1食700円前後(送料別)です。

血圧などで塩分を控えるように言われている方には、塩分控えめのセットもあります。

ひとつ現場らしいコツを。冷凍のまとめ買いは便利ですが、最初から大量に頼みすぎないのがおすすめです。口に合うかを8食程度で確かめてから続けるかを決める。離れて暮らしているなら、届くタイミングに合わせて電話を1本入れると、それも小さな見守りになります。

⚠️ 食事の「かたさ」は、入院中の食事に合わせてください

これだけは安全のためにお伝えしたいことです。入院していた方の場合、退院後の食事は、入院中に出ていた食事の形(やわらか食・きざみ食など)に合わせてください

やわらかい食事になっていたのは、必要があってそうなっていたからです。「本人が食べたがっているから」と普通の食事に戻してしまうのは、むせや誤嚥(ごえん)につながりかねず、正直、現場の人間としては怖い部分です。脅かしたいわけではありませんが、ここは慎重すぎるくらいでちょうどいい。

冷凍宅配にも「やわらか食」の専門シリーズがあるので、必要な方はそちらから選んでください。かむ・のみこむ力が心配な方は、むせ・誤嚥を防ぐ食事の姿勢もあわせてどうぞ。迷ったら、退院時の栄養指導の内容や、かかりつけ・ケアマネジャーさんに確認を。

下で紹介しているのは、株式会社ジョイント(日本製造)の冷凍やわらか食シリーズです。10食セット5,724円・送料無料(1食あたり約570円・2026年7月時点)で、減塩にも配慮されています。やわらかさはメーカー独自の基準で調理されています(UDF=ユニバーサルデザインフードのような共通区分の表記はありません)。合うやわらかさは人それぞれなので、退院時に食形態の指示がある方は、それに合うかをショップに確認してから選ぶと安心です。

現場で見た、配食が家族を助けた話

忘れられない方がいます。おひとり暮らしに戻るにあたって、ご家族が一番心配していたのが食事でした。そこで配食サービスを使うことにして、ご家族も納得して退院が決まったとき、ご本人がとても嬉しそうにされていたんです。配食が「ひとり暮らしを続ける」を可能にした場面でした。

もうひとつ、よく聞くのが「自分が栄養のあるものを作らないと」と抱え込んでいたご家族の話です。配食を入れたことで、その負担がふっと軽くなった——「毎回ちゃんと作らなきゃ」から降りていいんです。作れる日は作る、無理な日は配食。それで十分です。

実際、「作るつもりで買った食材が、冷蔵庫にたくさん余ってしまっていた」というおひとり暮らしの方もいました。作れない日があるのは自然なこと。だからこそ、無理のない仕組みで埋めるのが長続きのコツです。

「作らなきゃ」から降りる図解。サービスを頼ることは、親の笑顔を守る立派な選択

よくある質問(Q&A)

Q. 親が配食を嫌がりませんか?

A. 現場で聞く限り、嫌がる方はあまり見かけません。「最近のは、おいしいよね」という声の方が多い印象です。ただ「家族が作ってくれたものが食べたい」と言われることはあります。そのときは、全部を置き換えなくて大丈夫です。作れる日のごはんはそのままに、無理な日だけ配食で埋める——それがちょうどいい形です。

Q. 毎日頼まないとダメですか?

A. いいえ。1日1食、昼だけ、といった使い方で十分です。デイサービスに行く日は昼食が出るので、その日は不要——というような回数調整も普通にされています。

Q. 料金はどのくらいですか?

A. 市町村の配食サービスは自治体によって自己負担額が違うので、窓口でご確認を。民間の冷凍宅配は1食700円前後+送料が目安です。まとめ買いで1食あたりが下がるものが多いですが、最初は少なめのセットでお試しを。

Q. 誰に相談すればいいですか?

A. 要介護・要支援の認定を受けていればケアマネジャーさん、まだなら地域包括支援センターへ。「食事の準備が大変で、配食を考えている」と伝えれば、その地域で使える選択肢(助成・地域の業者・回数の目安)を教えてもらえます。

まとめ|「作らなきゃ」から降りて、仕組みで支える

  • 配食サービスに介護保険は使えないが、市町村の助成つき配食民間の冷凍宅配という2つの道がある
  • 市町村の配食は手渡しの安否確認を兼ねるものが多い。内容は自治体ごとに違うので、まず「市町村名+配食サービス」で検索するか包括へ
  • 配食は三食ぜんぶではなく、1日の空いたピースを埋める道具。1日1食・昼だけからでいい。まずは親子で一緒に食べてみるのもおすすめ
  • 入院していた方の食事のかたさは、入院中の食事に合わせる。自己判断で普通食に戻さない
  • 食事は体力の土台。ただし、盛り付けやお茶入れなど「できること」まで置き換えない
  • 「自分が作らないと」から降りていい。作れる日は作る、無理な日は配食

「食べない・寝てばかり」が気になっている方は高齢の親が食べない・寝てばかり…大丈夫?を、ひとり暮らしの親御さんが心配な方はひとり暮らしの親の転倒が心配な方へもあわせてどうぞ。

📩 最後まで読んでいただきありがとうございます

「うちの親の場合は、どう組み合わせればいい?」——ご家族の働き方や、親御さんの体の状態によって、ちょうどいい形は変わります。理学療法士として、状況に合わせてお答えします。

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