肩の痛みの原因は?前側・外側・後ろ側と四十肩・五十肩をPTが解説

肩に手をあてる猫のキャラクターと、肩の運動をサポートする理学療法士役のリス 介護
ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で毎日、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合っています。
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「腕を上げると肩がズキッと痛む」「服を着替えるのがつらい」「夜、肩が痛くて目が覚める」——肩が痛むと、毎日の何気ない動作がこんなに大変だったのか、と感じますよね。このまま腕が上がらなくなったらどうしよう、と不安になる方も多いと思います。

理学療法士として高齢の患者さんやそのご家族と接していると、肩の痛みを抱えている方は本当に多いと感じます。この記事では、「自分の肩の痛みは何だろう」「どうすればいいんだろう」という不安に少しでも寄り添えるよう、痛む場所ごとの傾向、高齢の方に多い四十肩・五十肩や回旋筋腱板(けんばん)の傷み、介護をされている方の肩の痛み、そしてご自宅でできることや受診の目安までをお伝えします。あくまで一般的な目安としてお読みください。

痛む場所でみる肩の痛み

肩はとても複雑な関節で、痛む場所や動きによって訴えの傾向が変わると感じます。「自分はどのあたりが、どんなときに痛むかな」と振り返る手がかりにしてみてください。もちろん傾向であって、原因は人それぞれです。

前側が痛むとき

腕を前に上げたり、重い物を持ち上げたりしたときに、肩の前がズキッと痛む、と話される方が多い印象です。前側の痛みでよくみられるのが、力こぶをつくる上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)の腱が、肩の前で炎症を起こす「上腕二頭筋長頭腱炎(ちょうとうけんえん)」です。同じ動作の繰り返しや使いすぎで、腱に負担がかかって起こることがあるといわれます。

外側が痛むとき

腕を横から上げていく途中で、肩の外側から二の腕のあたりにかけて痛む、という方によく出会います。この外側の痛みは、表面にある三角筋(さんかくきん)そのものというより、肩の奥で腕を持ち上げるのを助けている腱板(とくに棘上筋=きょくじょうきん)が、肩の骨(肩峰=けんぽう)の下でこすれて痛む「インピンジメント」が関係していることが多いといわれます。痛みは外側に感じても、原因は肩の奥にある、というケースが少なくありません。

後ろ側が痛むとき

腕を外にひねる動きや、後ろに手を回す動作でつらい、という声を聞きます。後ろ側では、肩を外にひねる働きをする棘下筋(きょくかきん)や小円筋(しょうえんきん)といった筋肉(これも腱板の一部です)の使いすぎや、首・肩甲骨まわりのこりが関係していることもあるようです。

高齢の方に多い「四十肩・五十肩」

年齢を重ねた方の肩の痛みでよくお見かけするのが、四十肩・五十肩(正式には肩関節周囲炎)と呼ばれるものです。肩の関節やまわりの組織に炎症が起きて、痛みと「動かしにくさ」が出てくると考えられています。

四十肩・五十肩のサイン

  • 腕が上がらず、髪を洗う・服を着替えるのがつらいという方
  • 夜、肩が痛くて目が覚める(夜間痛)という方
  • 後ろポケットに手を回す、エプロンのひもを結ぶ動作がしづらいという方

四十肩・五十肩には、痛みが強い時期から、だんだん動かしにくくなる時期、そして少しずつ回復していく時期がある、といわれます。時期によって「安静にしたほうがよいとき」と「少しずつ動かしたほうがよいとき」が変わるので、自己判断で無理に動かしすぎないことも大切です。

見逃したくない「回旋筋腱板の傷み」

高齢の方では、四十肩・五十肩とよく似た症状で、実は回旋筋腱板(けんばん)が傷んでいたり、切れていたりすることもあります。腱板は、肩の深いところで関節を支えている中心的な筋肉のグループです(ここまでにふれた棘上筋や棘下筋なども、この腱板の一部です)。そのため、前・外・後ろのどこが痛む場合でも関係していることがあり、場所を問わず痛みの背景にあることも珍しくありません。加齢とともに傷みやすくなるともいわれます。

たとえば、腕を横から上げる途中(とくに外側から後ろ)で痛む、腕に力が入りにくく上げた腕をストンと落としてしまう、夜間に強く痛む——といった訴えがみられることがあります。四十肩・五十肩と見分けがつきにくいこともあるため、「なかなか腕が上がらない」「力が入らない」と感じるときは、自己判断せず整形外科で一度みてもらうと安心です。

介護をする方の肩の痛み

意外と多いのが、ご家族を介護されている方の肩の痛みです。ベッドから起こす、車いすへ移す、体を支える——こうした動作で肩に大きな負担がかかり、痛めてしまう方を現場でもよく見かけます。「自分のことは後回し」になりがちですが、介護する側の体も同じくらい大切です。無理を重ねる前に、こちらの記事ものぞいてみてください。

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自宅でできるセルフケア

肩のケアでまず大切なのは、「いつから・どんな痛みか」で、冷やすか温めるかを選ぶことです。同じ肩の痛みでも、時期によって正解が逆になります。

  • 痛くなってきたばかり・ズキッ/ビリビリと鋭い痛みのときは「冷やす」:ぶつけた後や、急に強くなった痛み、熱っぽく感じるときは、まず冷やして炎症を落ち着かせるのが先です。
  • 慢性的でズーンと重い痛み・肩こりのようなこわばりには「温める」:長く続いている鈍い痛みやこわばりには、蒸しタオルなどで温めると血行がよくなり、楽に感じることがあります。

そのうえで、痛みが落ち着いてきたら、次のようなケアを痛みの出ない範囲で取り入れてみてください。

  • 振り子のように、やさしく動かす:前かがみになって腕の力を抜き、振り子のようにゆ〜らゆらと動かす運動は、肩に負担をかけにくい方法です。
  • 姿勢を見直す:猫背や巻き肩が続くと、肩に負担がかかりやすくなります。ときどき胸を開いて深呼吸するだけでも、気持ちよく感じる方が多いです。
  • 痛む時期は無理をしない:「動かさないと固まる」と頑張りすぎて、かえって悪化することもあります。痛みが強い時期は、休めることも立派なケアです。

受診を考えたい目安

セルフケアで様子を見ても、次のようなときは、自己判断せず整形外科を受診してください。早めに相談しておくと、その後の生活のしやすさにつながります。

  • 2週間以上、痛みが続いている・だんだん強くなっているとき
  • 腕がほとんど上がらない、動かせる範囲が急に狭くなったとき
  • 腕に力が入らない、上げた腕をストンと落としてしまうとき
  • 夜も眠れないほど痛むとき
  • 転んで肩を打ったあとから痛むとき(骨折などの可能性)

とくに転んで肩を痛めたときの受診の判断は、こちらの記事も参考になります。

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「これくらいで病院に行っていいのかな」とためらう方も多いのですが、不安なまま我慢するより、一度みてもらったほうが安心できることがほとんどです。

まとめ

肩の痛みは「前側・外側・後ろ側」や「どんな動きで痛むか」で訴えの傾向が変わり、高齢の方では四十肩・五十肩のほか、回旋筋腱板の傷みがみられることもあります。ご自宅では、痛くなってきたばかりの鋭い痛みは「冷やす」、慢性的なズーンとした痛みは「温める」が目安です。介護をされている方は、ご自身の肩もどうか大事にしてくださいね。気になる症状が続くときは、ためらわず専門家に相談しましょう。なお、膝の痛みが気になる方は、こちらもあわせてご覧ください。

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