📅 2026年10月公開

親の入院でリハビリが始まりました。担当の「理学療法士」さんって、何をしてくれる人なんでしょう?家族から話しかけてもいいのかな…。

もちろん大丈夫です。歩く手段、いつ家に帰れるか、家で困っている動き。この3つは、遠慮なく聞いてくださいね。
「リハビリが始まります」と言われても、リハビリの先生——理学療法士が何をする人なのか、くわしく知る機会は少ないと思います。リハビリというと、スポーツ選手のけがの治療を思い浮かべる方もいるかもしれません。
理学療法士は、病院では「起き上がる・立つ・歩く」といった基本の動きを取り戻すお手伝いをしています。入院中の親のことで迷ったら、遠慮なく相談してほしい職種です。
この記事の答え(先にまとめ)
- 理学療法士は、その人の力に合った形で、生活を取り戻すお手伝いをする職種です
- ご家族から相談してほしいのは、①歩く手段(杖・歩行器など) ②いつ家に帰れるか ③家で困っている動きの3つ
- 病室までのお迎えや、その人に合わせた練習は、特別扱いではなく当たり前のことです
- 退院したあとは、外来のリハビリスタッフに相談してください
この記事では、病院で働く理学療法士として、ご家族に知っておいてほしい「理学療法士にできること」と「相談していいこと」をまとめます。
理学療法士は何をする人?|「再び、その人に合った状態に」
理学療法士は、国家資格をもつリハビリの専門職です。英語では Physical Therapist(フィジカルセラピスト)、略して「PT」と呼ばれます。このブログによく出てくる「現役PT」も、理学療法士のことです。病院のほか、介護施設や通いのリハビリ(デイケア)、ご自宅に伺う訪問リハビリなどで働いています。
理学療法士になるには、大学や専門学校で3年以上、体の仕組みや動きについて学びます。病院などでの実習を経て、毎年2月にある国家試験に合格すると、春から理学療法士として働き始めます。私も試験の前は、毎日夜遅くまで、朝も早くから勉強しました。体と動きのことは、遠慮なく頼ってください。

リハビリ(リハビリテーション)という言葉には、もともと「再び、適した状態にする」という意味があります。
理学療法士の仕事は、その人の能力に合わせた形で、生活を取り戻すことです。できないことを、できるようになるまで頑張らせること、ではありません。反対に、安全を重視しすぎて「危ないから歩かないようにしましょう」とすること、でもありません。
たとえば、杖を使えば家の中を歩ける方には、杖での歩き方を。手すりがあればトイレに行ける方には、手すりの位置を。その方の力で、家での生活がいちばん楽に、安全になる形を一緒に探します。
リハビリは、スポーツ選手だけのものではありません
リハビリというと、スポーツのけがのイメージがあるかもしれません。でも病院のリハビリでは、高齢の方が家に帰って暮らすための練習も大切な仕事です。起き上がる、立つ、歩く、トイレに行く、お風呂に入る。毎日の当たり前の動きを取り戻すことが、理学療法士の仕事の中心にあります。
家族が理学療法士に相談していい3つのこと
入院中の親のことで、ご家族から理学療法士に相談してほしいのは、次の3つです。
① 歩く手段|杖・歩行器・歩き方
退院後に杖を使うのか、歩行器なのか、何も使わずに歩けるのか。どんな杖がいいのか。こうした「歩く手段」は、理学療法士がいちばん詳しいところです。
杖の選び方はT字杖おすすめランキング、使い方は杖の正しい使い方、歩行器とシルバーカーの選び方はシルバーカーと歩行器の違いにまとめています。
② いつ家に帰れるか|退院の見通し
退院の時期は、医師や病棟とも相談して決まります。そのうえで、動きの面での見通し——どんな動きができれば家で暮らせそうか——は、理学療法士に聞いてみてください。
入院中にご家族ができることは親の入院リハビリ、家族は何をすれば?、退院前の家の準備は退院前に家を整えるにまとめています。
③ 家で困っている動き|トイレ・お風呂・段差
「家のトイレは狭い」「お風呂の浴槽が深い」「玄関の段差が高い」。家で困っている動きを教えていただければ、入院中の練習に取り入れたり、退院前に手すりや道具を一緒に考えたりできます。
場所ごとの対策は、トイレ・浴槽のまたぎ・玄関の段差・床からの立ち上がり・ベッドの高さの記事にまとめています。
入院中のリハビリで「当たり前」にしていること
理学療法士にとっては当たり前でも、ご本人やご家族には意外に思われることがあります。
- 病室までお迎えに行く:必要なら車いすを押してリハビリ室へ。終わったら、病室まで送ります。特別扱いに見えるかもしれませんが、私たちにとっては当たり前のことです
- その人に合わせたメニュー:体の状態と、帰る家の様子に合わせて、練習の中身を決めます
家の生活に近い練習|スタッフが私物を持ってくることも
私の働く病院では、安全第一で、患者さんのために思いついたことは積極的にやってみる雰囲気があります。荷物を持って歩く練習や、着替えの練習もそのひとつです。
患者さんの訴えに合わせて、用意できる物で工夫して練習します。ときには、スタッフがわざわざ自分の私物を持ってきて、練習に使ってくれることもあります。家での生活に、少しでも近い形で練習できるように。そんな誠実なスタッフと一緒に働いています。
退院したあとは?|外来のリハビリスタッフに相談を
退院したあとも、何かしらの形でリハビリを続ける方がほとんどです。病棟では、退院する方を送り出すときに「外来のリハビリスタッフに相談してください」とお伝えしています。
通いのリハビリ(デイケア)とデイサービスの違いは、デイケアとデイサービスの違いにまとめています。
よくある質問
Q. 理学療法士と作業療法士の違いは?
Q. 家族から理学療法士に話しかけてもいいですか?
PTからひとこと|生活を取り戻すために
リハビリのゴールは、できないことを無理にできるようにすることでも、危ないから動かないようにすることでもありません。その人の力に合った形で、もう一度、生活を取り戻すことです。
迷ったら、担当の理学療法士に声をかけてください。
まとめ|理学療法士は「生活を取り戻す」お手伝い役
- 理学療法士(PT)は、その人の力に合った形で生活を取り戻すリハビリの専門職
- 相談してほしいのは、歩く手段・いつ帰れるか・家で困っている動き
- 病室へのお迎えや、その人に合わせた練習は当たり前
- 退院したあとは、外来のリハビリスタッフへ
このブログを書いている理学療法士(私)のことは、私が「介護×転倒予防」のブログを書く理由にまとめています。


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