📅 2026年10月公開:リハビリの現場で見ていることをもとに書いています(価格は2026年10月時点)。

母の外出用のスニーカーがぼろぼろで、買い替えたいんです。でも、おすすめランキングを見ても、うちの母に合うかどうか分からなくて…。

見るところは3つです。サイズが合っている・かかとがすり減っていない・ひもやテープでしっかり留まる。そのうえで私は、かかとが硬くて、手を使わずに履ける靴を本当におすすめしています。
入院中の靴については入院中の親の靴のおすすめに書いたので、この記事では、家で暮らす高齢の親の靴を、どう選び、いつ買い替えるかをまとめます。
この記事の答え(先にまとめ)
- 転びにくい靴の条件は3つ:サイズが合っている/かかとがすり減っていない/ひもやテープでしっかり締まる(=足囲が合っている)
- よく見る「合わない靴」は、大きすぎる靴と、かかとを履きつぶした靴
- つまずく原因は、靴そのものより足首の持ち上がりと、体のふらつき。靴だけでは解決しないが、靴で危険を足さないことはできる
- おすすめは、かかとが硬くて、手を使わずに履ける靴。通所や施設も、外用と同じ靴でよい
- 買い替えは長くて1年。かかとと靴底のすり減り、履き口のつぶれを見る
📌 こんな方に読んでほしい記事です
- 親の靴を買い替えたいが、何を基準に選べばいいか分からない方
- 親がサンダルや、かかとを踏んだ履き方をやめてくれない方
- 通所リハビリやデイサービスで「靴を替えたほうがいい」と言われた方
リハビリの現場で見ている「合わない靴」
リハビリの現場で見る「合わない靴」は、だいたい2つです。サイズが大きすぎる靴と、かかとを履きつぶしている靴。リハビリに来る方は、しっかりめの靴を履いてくる方が多いのですが、この2つはやはり見かけます。
正直に書くと、つまずく原因は靴そのものより、足首がうまく持ち上がらないことや、体のふらつきにあることが多いです。つまり「靴を替えれば転ばなくなる」わけではありません。靴の役目は、余計な危険を足さないことです。体のほうの話は、高齢者が転倒を繰り返す3つの原因に書いています。
もうひとつ、靴の着脱がひとりでできるようになっていない方もいます。そういう方でも、かかとが硬いタイプの靴だと、比較的みなさんスッと履いています。ここが、この記事でいちばん伝えたいことにつながります。
転びにくい靴の3つの条件
- サイズが合っている:大きすぎる靴は、靴の中で足が動いてつまずきやすくなります。測り方と計算ツールは、下の「足のサイズから靴のサイズを調べる」の章で
- かかとがすり減っていない:すり減った靴は、歩き方の癖をそのまま強めます
- ひもやテープで、しっかり締まる:ひもでなくてもかまいません。しっかり留まるということは、足の幅(足囲)が合っているということです
逆に、避けたいのは「大きすぎる靴」「かかとを踏んで歩く」「サンダルで外を歩く」です。ただ、かかと踏みには事情もあるので、次の章で書きます。
かかとが硬くて、手を使わずに履ける靴をすすめる理由
私が本当におすすめしたいのは、かかとが硬くて、手を使わずに履ける靴です。かがんで靴を履く動作には、ふらつく危険があります。手を使わずに履けると、その危険が減り、靴の着脱がひとりでできるようになる方も増えます。転倒の危険と、毎日の着脱の負担を考えると、メリットは大きいと思っています。
見た目は普通のスニーカーで、最近は病院にいる40代くらいの若い患者さんも履いています。
通所や施設へ行くときの靴も、結局は外の靴と変わりません。外用に、かかとが硬いタイプを1足でよいと思います。場面ごとに履き分けるのは、それ自体が大変ですから。転倒の心配が少ない方なら、おしゃれを優先してもかまいません。「絶対にこれ」という靴はありません。
「かかとを踏んだほうが楽」と言う親に、どう伝えているか
かかとを踏んだ履き方をやめない方は、本当に多いです。意外とムキになって、「かかとをつぶしたほうが歩きやすい・履きやすい・楽」と感じている方が多いようです。「危ないから、絶対にかかとまで履いてください」と伝えても、その場だけ聞いている感じになる方は多い印象で、病棟では、夜のトイレは履きつぶしたまま、という方も多いものです。
だから私は、メリハリをつけて伝えるようにしています。入院中の注意事項として、病棟でよく伝えるのは、「短い距離で、つかまるものがあるなら、いいかもしれません。おすすめはしませんが」という言い方です。病棟には、ベッドから手すりのあるトイレまでのように、つかまりながら短い距離を歩く場面があるからです。家で外の靴を履いているときに、そういう場面はあまりありません。外を歩くときは、かかとまで履いてください。そのうえで、ちゃんと履くことのよさを話します。
- 転ぶ危険が下がる
- 足のトラブルを避けられる
- 「医療の人に言われていたのに」という後悔をしなくてすむ
もうひとつ、高齢の方の足の変形は本当にさまざまで、無理に靴を履くと痛い方が多いのだと思います。だから「かかとまで履いて」で終わらせずに、「あなたに合う靴を探しましょう」とも話しています。本人が嫌がるときの声のかけ方は、杖を嫌がる親への声かけと同じ考え方です。
場面別の考え方|外出・家の中・通所や施設・入院
- 外出用:かかとが硬くて、手を使わずに履ける靴。この記事のおすすめは下にまとめました
- 家の中:スリッパか靴下か裸足か、で迷う方は高齢者の家の中はスリッパ?靴下?裸足?へ
- 通所や施設:外の靴と同じでかまいません。「上履き」の指定がある施設では、軽い室内用シューズを1足
- 入院中:むくみや手術のあとの話は、入院中の親の靴のおすすめへ
靴を裏返して見る3つのポイント|買い替えは長くて1年
親の靴を一度、手に取ってみてください。見るところは3つです。
- 後ろから見た、かかとのすり減り:片側だけ斜めに減っていないか
- 裏から見た、靴底のすり減り:つま先側・外側・内側のどこが減っているか
- 履き口のつぶれ:かかと部分が潰れて、サンダルのようになっていないか
すり減り方で歩き方の癖は分かりますが、その癖をどう直すかは簡単ではありません。だから家族としては、「すり減りがすごいな、と思ったら替え時」と考えるくらいでちょうどいいです。靴の寿命は、毎日履いて長くて1年くらい。毎日同じ靴でないほうが長持ちするので、似た見た目の靴を2足持って、気分で選ぶ楽しみがあってもいいと思います。私自身は、中敷き(インソール)を替えてもっと長く履いています(ソルボインソールの口コミ)。
すり減り方の癖が気になるときは、理学療法士と話す機会があれば相談してみてください。
むくみ・外反母趾・装具がある方の靴
- 装具をつけている方:つま先のほうまでガバッと開く靴の方が多いです。履き口が大きくないと、装具ごと入らないからです
- むくみのある方:日によって靴を分けたり、少し無理して履いていたり、日ごろから大きめを使っていたり、さまざまです。マジックテープで大きく開く靴だと、日ごとの変化に合わせやすくなります
- 外反母趾の方:痛くないものを試し履きして選んでいる方がほとんどです。大きな変形でなければ、運動靴で明らかな問題はなさそうです。変形が大きい方は、マジックテープでゆったり留められる靴が多いです
外反母趾については、足の指を開いたり閉じたりする運動をすすめています。ポイントは、床に足を置いたまま行うことです。指を反らしながら開いたり、ぎゅっと握り込んだりしてしまうのは、別の動きで代わりにしているだけなので、効果が薄くなります。最初は難しくても、続けるとだんだんできるようになります。五本指ソックスで指が動きやすくなる方もいます。
指の間に挟むシリコンのパッド(トゥセパレーター)や、親指を外に広げるサポーター、出っ張った部分を守るクッションも市販されています。日本整形外科学会と日本足の外科学会の「外反母趾診療ガイドライン2022」では、こうした装具や運動は、軽い〜中くらいの外反母趾で痛みをやわらげる助けになる一方、変形そのものを元に戻す根拠は弱いとされています。治すためというより、痛みを減らして、症状の進行をやわらげるためのものと考えてください。痛みが強いときや変形が進むときは、整形外科へ相談してください。
市販のサポーターでは、インソールの記事でも紹介したソルボ(三進興産)の外反母趾サポーターが定番のひとつです。指の間に挟むパッドと、足の裏側を支えるパッドがついた薄いメッシュのサポーターで、テープで締め具合を変えられます。薄いので靴の中でも使えます。左右別売りの店が多いので、両足セットを選ぶと迷いません。価格は両足セットで3,700円前後(片足ずつなら1足1,900円前後)です。
足のサイズから靴のサイズを調べる|計算ツール(JIS規格)
サイズは「いつも25cm」で買わずに、一度測ってみてください。足の形は年齢とともに変わります。
靴の「3E」「4E」は、足の幅そのものではなく、足囲(そくい)=足の付け根まわりの長さで決まる日本の規格(JIS S 5037)の記号です。足長と足囲を測って入れると、靴のサイズとワイズ(E・2E・3E・4E)の目安が出ます。
📏 測り方(立って体重をかけて測る・両足を測って大きいほうの数字を使う)
- 足長:紙の上に立ち、かかとの後ろの端から、いちばん長い指の先までの長さ(cm)
- 足囲:親指の付け根と小指の付け根の、いちばん出っ張った骨を通るように、メジャーで足をぐるりと一周した長さ(cm)
- 足幅(あれば):その2つの骨の間の、まっすぐの幅(cm)

体重をかけると足は少し広がります。靴は立って歩くときに使うものなので、座って測るのではなく、立って測った数字を使ってください。
試し履きの目安:かかとを合わせて履いたとき、つま先に1cmほど(指1本分)の余裕があるのがちょうどよい状態です。1.5cm以上あまる靴は大きすぎます。履くときは、ひもやテープを緩めてかかとをトントンと合わせてから、足首に近い側の甲をやや強めに、ほかは適度に締めると、靴の中で足がずれにくくなります。
※足囲の基準値は、日本産業規格 JIS S 5037(靴のサイズ)の成人男子・成人女子の表をもとにしています(足長が1cm大きくなるごとに足囲の基準が6mm、ワイズが1段階上がるごとに6mm)。足幅からの目安は参考値です。測り方はムーンスター「基本の計測方法」を参考にしました。靴は型や素材でも変わるので、最後は試し履きで決めてください。
足の形は人それぞれで、むくみや外反母趾があると、表のとおりにいかないこともあります。迷ったら、理学療法士に足と靴を見てもらうと、より正確に答えてもらえるかもしれません。入院中なら、リハビリの時間に「この靴で合っていますか」と聞くだけで大丈夫です。
私に聞きたい方は、LINEかお問い合わせフォームからご連絡ください。測った数字(足長・足囲)と、今履いている靴のサイズを添えてもらえると答えやすいです。
場面別のおすすめ|「絶対にこれ」ではなく、今の足に合うものを
リハビリの現場で、手を使わずに履ける靴としていちばんよく見るのはスケッチャーズのスリップインズ、次いであゆみ(徳武産業)や快歩主義(アサヒシューズ)です。ここでは場面別に紹介します。価格は2026年10月時点の目安です。
① 外出用・手を使わずに履きたい方に:スケッチャーズ スリップインズ
かかとが硬く、足を入れるだけで履けるシリーズ。かがむ動作そのものをなくせるので、腰や膝がつらい方にも向いています。見た目は普通のスニーカーです。リンク先はレディース。価格は7,400〜8,500円ほどです。
② 外出用・メンズに:スケッチャーズ スリップインズ キーペース
①と同じく手を使わずに履けるスリップインズのメンズ定番(幅広4E)。デザインが若々しいので「高齢者向け」の匂いがしません。価格は8,800〜1万1,000円ほどです。
③ 幅が広い・きつく感じやすい方に:FitVille(幅広4E)
幅広設計のスニーカー。外反母趾ぎみの方や、いつも幅がきついと感じる方の選択肢です。きつい靴を我慢すると、歩き方が崩れて転倒につながることもあります。価格は4,400円前後です。
④ むくみ・装具・しっかり留めたい方に:あゆみ ダブルマジックIII
介護シューズの定番。マジックテープが2本で大きく開くので、むくみの変化や装具にも合わせやすく、ご家族が履かせる場面でも実用的です。価格は6,200円前後です。
⑤ 軽さ重視・スニーカーに近い見た目:快歩主義(アサヒシューズ)
とにかく軽いのが特長で、リハビリの現場でもよく見ます。レディースはL011、メンズはM021が定番です。どちらも5,200円前後です。
⑥ 施設の「上履き」指定に:ムーンスター パステル410
軽い室内用シューズ。デイサービスや施設で上履きの指定がある場合の定番です。価格は5,200円前後+送料(合計5,800円ほど)です。
⑦ かがめない・足を持ち上げにくい方に:LAQUN(ラクーン)
かかとが「踏まれることを前提に」設計された靴で、踏み込むと履き口が広がり、手を使わずに履けます。手術のあとなど、足の状態が日によって変わる時期に向いています。価格は1万7,600〜1万9,800円(公式ストア)と高めですが、毎日の「履く」がいちばんの負担になっている方には、その負担が減る価値はあると思います。
▶ 1秒で履ける靴(LAQUN公式サイト)
よくある質問
Q. サンダルやかかとを踏んだ履き方は、ぜんぶダメですか?
Q. 靴は何年くらいで買い替えればいいですか?
Q. 通所やデイサービスの靴は、外の靴と別に用意すべきですか?
Q. 外反母趾でも、運動靴でいいですか?
PTからひとこと|「おじいちゃんの靴」ではありません
かかとが硬くて、手を使わずに履ける靴を、私は本当にすすめたいと思っています。かがむ危険や転倒のことを考えると、メリットは大きいからです。以前は「おじいちゃんの靴」という印象だったかもしれませんが、いまは若い患者さんも履いていますし、私も買ってみようかと思っているくらいです。高齢の方が手を使わずに靴を履けることのよさは、もっと知られてほしいと思っています。
履きすぎてすり減った靴や、歩いていて痛い靴は、すぐに買い替えを考えてください。靴は毎日履くもの。足に合った1足は、毎日の転倒予防です。
まとめ|高齢者の靴は「合う・減っていない・締まる」の3つで選ぶ
- 転びにくい靴の条件=サイズが合う・かかとがすり減っていない・しっかり締まる
- 合わない靴=大きすぎる・かかとの履きつぶし。つまずきの原因は靴より足首と体のふらつき
- おすすめはかかとが硬くて手を使わずに履ける靴。通所や施設も外用と同じでよい
- 「かかとを踏んだほうが楽」と言う親には、メリハリをつけて伝え、合う靴を一緒に探す
- 買い替えは長くて1年。靴を裏返して、かかと・靴底・履き口を見る
このブログを書いている理学療法士(私)のことは、私が「介護×転倒予防」のブログを書く理由にまとめています。
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