靴下が履けない高齢の親へ|ソックスエイドの使い方と座って履くコツを理学療法士が解説

椅子に座り、右足だけをソックスエイドに入れて、ひもを両手で持って靴下を履く高齢の猫と、拍手する家族の猫、見守るリスの理学療法士 介護

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ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合ってきた経験から書いています。
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📅 2026年10月公開・10月3日更新:手作りして履いてみた写真と、印刷用の型紙を追加

家族
家族

最近、親が自分で靴下を履けなくなってきました。もう毎朝、私が履かせてあげるしかないんでしょうか…。

ケレン
ケレン

道具を使えば、自分で履ける方は多いですよ。靴下に30分かかっていた方が、ソックスエイドを使って感動していたこともあります。

この記事の答え(先にまとめ)

  • 靴下を履くのは、実は難しい動きです。前かがみがつらいなら、無理にがんばらなくて大丈夫
  • まずは、椅子に座って、片足をもう片方の膝に乗せて履く方法を
  • 股関節の手術のあとで避けたい姿勢(脱臼肢位)がある方や、圧迫骨折のあとの方は、姿勢に注意。担当の先生やリハビリの指示を優先してください
  • 前かがみがつらいなら、ソックスエイドという道具を。高いものではなく、100円ショップの材料で作ることもできます(印刷用の型紙つき)
  • 使うときのコツは、靴下を深くまでしっかりかぶせることです

この記事では、病院の理学療法士として、病棟で行っている靴下の練習と、道具の使い方をまとめます。

靴下を履くのは、実は難しい動き

靴下を履くには、体を前に倒す、足を手元に引き寄せる、股関節を外に開く、と、いくつもの動きが必要です。病棟でも、靴下を履く練習をします。

正直にいうと、私たち理学療法士も、靴下の履き方までお伝えしきれていないことがあります。歩く練習など、先に取り組むことが多いからかもしれません。退院前に一度、「靴下はどう履けばいいですか?」と、リハビリの担当者に聞いてみてください。

まずは、椅子に座って片足を乗せて履く

前かがみで履けない方には、椅子に座って、片足をもう片方の膝の上に乗せて履く方法をお伝えしています。

このとき大事なのが、股関節を外に開く動き(あぐらをかくような動き)の柔らかさです。病棟でも、よく練習します。

前かがみになりすぎない

高齢の方にとって、深く前かがみになるのは怖いものです。前かがみになりすぎて、バランスを崩したり、くらっとするような感じになったりする方もいます。

手術のあと・骨折のあとは、避けたい姿勢に注意

股関節の人工関節の手術のあとで、避けたい姿勢(脱臼しやすい姿勢=脱臼肢位)がある方は、足を組むような形にならないよう注意が必要です。脱臼肢位については高齢者がこたつ・床から立ち上がれないときの対策でも触れています。

背骨の圧迫骨折のあとなら、体を深く前に倒す姿勢は控えたいところです。

どの姿勢を避けるかは、手術の方法やその方の状態によって違います。担当の先生やリハビリの指示を優先してください。

前かがみがつらいなら「ソックスエイド」

ソックスエイドは、前かがみにならずに靴下を履くための道具です。やわらかい筒のような部分に靴下をかぶせて床に置き、足を入れてひもを引くと、靴下が履けます。

使い方

  1. 椅子に座り、ソックスエイドの本体を丸めて、靴下をかぶせます。つま先まで、深くしっかりかぶせるのがコツです
  2. ひもを持ってソックスエイドを足元に下ろし、つま先を差し込んで、指先で靴下のつま先まで進めます
  3. つま先まで入ったら、ひもをゆっくり引きます。ソックスエイドが抜け、靴下はくるぶしのあたりで止まります
  4. 最後は手で引き上げて整えます。くるぶしまで手が届けば大丈夫です
手作りのソックスエイドの使い方。①本体を丸めて靴下に入れる、②つま先まで指先で進める、③ひもを引くとくるぶしで止まる、④くるぶしまで手が届けばOK
私が手作りしたソックスエイドで、実際に履いてみました

コツは「靴下を深くまでしっかり」

病棟でよく見かけるのは、靴下が中途半端にしか入らず、結局前かがみでがんばっている方です。最初に靴下を深くまでしっかりかぶせておくと、途中で止まりにくくなります。かぶせたあと、靴下の中に手を入れて、広げるように形を整えておくと、足が入りやすくなります。

実際に自分で履いてみると、ひもを引けば「するっと」きれいに履ける、というわけではありませんでした。つま先まで足を進めてから、ゆっくり引く。それでも、靴下はくるぶしのあたりで止まります。最後は、くるぶしのあたりから自分の手で引き上げて整えます。つま先には手が届かなくても、くるぶしまで届けば大丈夫です。市販品でも、ここは同じだと思います。

以前、靴下を履くのに30分かかっていた方がいました。ソックスエイドを使ってみたら、とても感動されていたのを覚えています。

ソックスエイドは、買う?作る?

買うのが楽です。高いものではなく、1,000円前後で売られています(2026年10月時点)。介護保険の対象ではないので、自費で買う道具です。

選ぶときは、靴下をかぶせる部分がやわらかく、ひもで引くタイプが基本の形です。

たとえば、こうしたひもで引くタイプです。

▶ ほかの商品も比べるなら:Amazonで「ソックスエイド」を探す/楽天市場で探す/Yahoo!ショッピングで探す

100円ショップの材料で作ることも

作るのも楽しいと思います。病棟でも、「作ってみましょう」とお話ししたことがあります。

100円ショップのまな板シートとひもが、ちょうどよい材料です。ひもの長さを、使う人の好みに合わせられるのもよいところです。

この記事を書くにあたって、私も実際に作ってみました。まな板シート1枚(約36×25cm)から作れます。

まな板シートでソックスエイドを作る手順。①材料と道具、②線を書く、③切る、④穴にひもを通して完成
100円ショップのまな板シートとひもで作りました

作ってみて分かったこと

  • 薄いシートだと、靴下の口が狭くなって苦戦しました。切るのは少し大変になりますが、もう少し厚めのシートがよさそうです
  • 持ち手と本体のあいだにくびれをつくると、使いやすいと思います
  • 穴は端に近すぎると、裂けやすいです。私は亀裂が入って切れかけたので、少し内側にあけ直しました(下の写真)
  • ひもを強く引っ張ると、シートが壊れてしまいそうでした。ゆっくり引くのがおすすめです
  • 手作りは、まず試してみたいときに。毎日使うなら、市販品のほうが楽だと思います
まな板シートで作ったソックスエイドの持ち手。端に近い穴から亀裂が入り、右側に内側へあけ直した穴がある
穴が端に近すぎると、そこから裂けてしまいます

📄 印刷用の作り方シートと型紙(PDF・A4 2枚)
1枚目は作り方と注意点、2枚目は実寸大の型紙です。型紙の上にシートを重ねて、なぞれます。「実際のサイズ(100%)」で印刷してください。足の大きい男性は、線の1cmほど外側をなぞって、ひと回り大きく作ってください。

🖨️ ほかにも、印刷して使えるシートがあります → 無料シート集

ビニール袋や牛乳パック、ハンガーで作る方法もあるようです。ただ、私は作ったことがなく、形がゆがみやすいかもしれません。

よくある質問

Q. 親の靴下は、家族が毎朝履かせてあげたほうがいいですか?

A.座り方や道具を工夫すると、自分で履ける方も多いです。まずは、椅子に座って片足を乗せる方法や、ソックスエイドを試してみてください。それでも難しいところだけ手伝うと、毎朝のご家族の負担も軽くなります。

Q. ソックスエイドは介護保険で買えますか?

A.介護保険の対象ではないので、自費で購入します。1,000円前後のものが多く、100円ショップの材料で作ることもできます。

Q. ソックスエイドを使うとき、ほかに気をつけることは?

A.足の感覚が鈍い方(糖尿病などで)は、プラスチックの縁でこすれても気づきにくいことがあります。使ったあとに、肌に赤みや傷がないか見てあげてください。手作りのものは、角を丸く切っておくと安心です。

Q. 股関節の手術のあとでも、ソックスエイドは使えますか?

A.前かがみを減らせる道具なので、手術のあとにも使われます。ただ、足の入れ方によっては、避けたい姿勢に近づくこともあります。使い方は、担当の先生やリハビリに確かめてから始めてください。

まとめ|靴下は「道具を使えば楽になる」

  • 靴下を履くのは、実は難しい動き
  • まずは、椅子に座って片足を乗せて履く
  • 手術のあと・骨折のあとは、避けたい姿勢に注意。担当の指示を優先
  • 前かがみがつらいなら、ソックスエイド。買っても高くなく、作ることもできる
  • コツは、靴下を深くまでしっかりかぶせること

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