【2026年】高齢者の手すりはレンタルと購入どっち?必要な3箇所を現役PTが解説

理学療法士が解説する、親の家に必要な手すり3箇所のアイキャッチ 介護
理学療法士が、親の家に必要な手すり3箇所と「介護保険・自費購入」の使い分けを解説します。
ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で毎日、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合っています。
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📅 2026年7月更新:レンタルと購入の早見表と、よくある質問を追加しました。

「玄関を一人で上り下りできるか、それが一番心配だったんです」

整形外科・回復期病棟で働く理学療法士として、股関節の手術(人工骨頭置換術)を受けた80代の患者さんを担当したときの、ご本人とご家族の言葉です。

お風呂とトイレには、すでに手すりがありました。でも、玄関の上がり框(あがりかまち)には何もなかった。退院前にそこへ手すりを1本設置しただけで、「これがあれば、自分で家に入れる」と本当に嬉しそうにされたのを、今でも覚えています。

この記事では、そんな現場を見てきたPTの視点で、手すりの「介護保険レンタル」と「自費購入」の使い分けと、親の家で絶対に外せない3箇所を正直にお伝えします。

レンタルと購入の早見表|まずはここから

🔎 手すりはレンタル?購入?早見表

あてはまる状況向いている方法
要支援・要介護の認定を受けている介護保険でレンタル(まずケアマネさんへ)
体の状態がこれから変わりそう(回復中など)レンタル(交換・返却しやすい)
認定はないが、転ぶ前に備えたい自費で購入
同居する家族の分も長く使いたい自費で購入
手すりはレンタルか購入かの分かれ道の図。要支援・要介護の認定があれば介護保険でレンタル(月100〜500円)、なければ自費で購入(目安1.5〜4万円)。迷ったら地域包括支援センターに無料相談

迷ったら「認定があるなら、まずレンタルから」。ここから順番に説明します。

手すりは「基本、介護保険でレンタル」が正解です

正直にお伝えします。手すりが必要になったら、まず最初に検討すべきは「介護保険でのレンタル」です。私が現場で患者さんやご家族に勧める理由は3つあります。

レンタルを勧める3つの理由

  • とにかく安い(月数百円〜):自己負担は原則1〜3割。手すり1本なら月100〜500円程度で借りられます
  • 不要になったらすぐ返せる:リハビリで歩行能力が改善すれば、要らなくなる手すりも出てきます。レンタルなら返却するだけです
  • 専門家が選んでくれる:福祉用具専門相談員やケアマネジャーが自宅まで来て、家の構造・動線・本人の体に合わせて提案してくれます。素人判断で買うより、はるかに失敗が少ないです

それでも「自費で購入」を選ぶべき3つのケース

では、なぜ自費購入の話をするかというと——介護保険レンタルが使えない・間に合わないケースがあるからです。

ケース①:そもそも介護保険の対象でない人

「最近、なんとなく不安だけど、まだ介護認定は受けていない」——こういう親御さんは、本当に多いです。

介護認定が下りていなければ、レンタル制度は使えません。「健康だけど、念のため」段階の方は、自費購入が現実的な選択肢になります。

ケース②:転んでからでは遅いと感じた時

私がリハビリ室で、ご家族からよく聞く言葉があります。

「事前に手すりを付けていたから、そもそも転ばずに済んだと思うんです」

転倒してから入院、リハビリ、要介護認定…という流れに入る前に、「予防」として手すりを付けておく選択肢は、とても合理的です。介護保険の認定を待つ間にも、転倒のリスクは進みます。

ケース③:同居家族の予備需要

これも印象に残っているお話です。旦那さんが入院されている、いくつか年下の奥さん。一人暮らし状態になったタイミングで、こうおっしゃっていました。

「私のためにも、手すりが欲しいなって思って」

ご本人はまだ介護認定を受けるレベルではない。でも、「もしも」を考えると不安。こういう「グレーゾーンの家族」にとっては、自費で1本買っておくのが一番の安心になります。

親の家に必要な手すり3箇所|PTが現場で見て確信

では、どこに手すりを付けるべきか。私が病棟・退院前の相談で見てきた中で、絶対に外せない3箇所を紹介します。

① 玄関|上がり框の据え置き型手すり

冒頭の80代男性の方も、玄関の手すりで生活が変わりました。

  • 玄関は「段差+靴の着脱+立位バランス」が同時に求められる、家の中でも特に転倒リスクが高い場所
  • 据え置き型なら工事不要で、賃貸でも使える
  • 玄関に手すりがあるだけで「外出への心理的ハードル」が下がり、生活の自立が保たれる

ここは最優先で検討してください。おすすめは「楽々健」の置き型手すり。福祉用具専門相談員が開発監修に関わっていて、高さ4段階(79〜85cm)で調整でき、天然木の木目が家の雰囲気に馴染みます。価格は2万5,000円前後です(2026年7月時点)。

玄関全体の転倒対策(ベンチ・踏み台・センサーライトなど)は、玄関の転倒防止グッズ5選で悩み別にまとめています。

② トイレ|置くだけ型の据え置き手すり

トイレでの立ち座りは、1日に何度も繰り返す動作。ここに手すりがあるかないかで、自立度が大きく変わります。

  • トイレでの転倒は、密室で発見が遅れやすい怖い事故
  • 置くだけ型なら、賃貸でも、設置工事の手間なしで使える
  • 夜中のトイレでも、握る場所があるという安心感

🩺 PTひとこと|「押して立つ」が正解

トイレの手すりは「引っ張って立つ」のではなく「押して立つ」のが正解です。引っ張る癖がつくと肩や腰に負担がかかります。便器の少し前方・体重を上から押し下げられる位置に手すりが来るよう設置してください。

こちらは日本製・天然木で高さ調節ができるタイプ。価格は1万8,000円前後です(2026年7月時点)。

③ ベッドサイド|起き上がり補助バー

退院前のリハビリで、患者さんからよく言われる言葉があります。

「家にはこれがないから、ちゃんと起き上がれるか心配で…」

病院のベッドには介助バーがあって、それを使って起き上がる練習をします。でも自宅に戻ると、何もない。起き上がりの動作は、思っている以上に筋力とコツが必要なんです。

  • 床置き型なので、ベッド・布団・ソファ脇など多用途に使える
  • 起き上がる時、立ち上がる時の両方で使える
  • 夜間トイレに行く時のフラつき防止にも(夜間転倒の対策記事もどうぞ)
  • モルテンは医療現場でも信頼の高いブランド

価格は3万9,000円前後としっかりした作りの分だけ値も張ります(2026年7月時点・使用者体重100kgまで)。介護認定がある方は、モルテンの手すりはレンタルの定番でもあるので、まずケアマネジャーさんに相談してみてください。

⚠️ ベッドまわりの手すりは「安さ」で選ばないでください

ベッドに取り付けるタイプの手すりや柵は、すき間に首や体が挟まる死亡事故が消費者庁から繰り返し注意喚起されている分野です。介護ベッドに取り付ける場合は、新しいJIS規格に対応しているかを必ず確認してください。床置き型を選ぶ場合も、モルテンのような福祉用具メーカーの実績ある製品を選び、迷ったら福祉用具専門相談員に相談することをおすすめします。

補足:浴室はどうするか

浴室にも手すりは必要ですが、ここは介護保険でのレンタル・住宅改修がもっとも有利な場所です。水まわりは種類が豊富で設置条件もシビアなので、専門家に選んでもらうのが安全。デイサービスなどでお風呂に入る方の場合は、自宅の浴室手すりの優先度が下がることもあります。

失敗しない選び方|PTがチェックする4つのポイント

手すりは「付ければいい」ものではありません。合わない手すりは、かえって転倒や関節痛の原因になります。

購入前チェック4項目

  • 高さ=「立ち上がった時に楽に手が届く位置」:目安は腰のすぐ上、腕を軽く曲げてちょうど握れる高さ。立ち上がり用なら椅子の肘掛けと同じ感覚、段差用ならもう少し高めでも大丈夫です
  • 太さ=目安は直径3〜3.5cm:握ったときに親指とほかの指が軽く触れ合うくらいが握りやすい太さです。握力が弱った方ほど細すぎるものは危険なので、商品ページの仕様欄で直径を確認しましょう
  • 導線=「増やしすぎない」:手すりだらけにすると生活動線が狭くなります。「階段に付けたら洗濯カゴが持ちづらくなった」という失敗談も。家族が荷物を運ぶ場面も想像して位置を決めましょう
  • トイレ=「押して立つ」位置に:引っ張って立つ配置は体を痛めます(前の章のPTひとことを参照)

番外編|「玄関に椅子を置く」という選択肢

手すりだけでなく、玄関に小さな椅子を1つ置くのも、私が現場でよく提案する方法です。

立ったまま靴を履くのは、片足立ちのバランスが必要で、高齢者にはハードルが高い動作。座って靴を履けるだけで、転倒リスクが大きく下がります。「手すり+椅子」のセットを玄関に用意できると、ほぼ完璧です。

たとえばこちらの腰掛けベンチは、手すりとシューズラック収納が付いて5,500円前後(2026年7月時点)。「靴を履く時に座る」習慣づくりにちょうどいい1台です。

よくある質問(Q&A)

Q. レンタルと購入、結局どっちが得ですか?

A. 介護認定がある方なら、現場の実感としてはやはりレンタルです。金額の目安は、レンタルが月100〜500円程度(自己負担1〜3割の場合)、購入は1万5,000円〜4万円程度。数年単位で使えば購入が安く見えることもありますが、回復が進めば手すり自体が不要になることもありますし、万が一壊れてもレンタルなら問題ありません。体の状態が変わって「使いたい手すり」が変わったときに、変更しやすいのが一番のメリットです。認定がない方は、この記事で紹介したような自費購入が現実的です。

Q. あまり動かないほうが安全ですよね?

A. これ、本当によく聞かれるのですが、PTから見ると「動かない選択」こそ最大のリスクです。動かないと筋力が落ち、関節が硬くなり、結局「動けなくなる」体になります。手すりは「動かないため」のものではなく、「安全に動き続けるため」のものです。

手すりは「安全に動き続けるため」の道具であることを表す循環図。手すりがあるから動ける、動くから筋力を保てる、という良い循環

Q. 手すりを付けると、家が「介護の家」っぽくなりませんか?

A. その気持ち、よくわかります。最近の手すりは木目調・ホワイト・ブラウンなど、家具と馴染むデザインが増えています。「介護用品っぽい色」を避けるだけで印象は大きく変わります。また、増やしすぎないことも大切です。本当に必要な場所に絞れば、暮らしの風景はほとんど変わりません。

Q. 壁や床がもろくても付けられますか?

A. 古い家・木造の家では、突っ張り型の手すりが天井を傷めることがあります。そういう場合は、この記事で紹介した「据え置き型」「置くだけ型」がおすすめです。本体の重さで安定する仕組みなので、壁・床・天井を傷めません。

Q. 介護保険って、何から始めればいいですか?

A. お住まいの市区町村の「地域包括支援センター」に電話するのが一番の近道です。「親のことで相談したい」と伝えるだけで、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員につないでもらえます。相談は無料です。

まとめ|手すりは「動くための道具」です

📌 この記事のまとめ

  • 手すりは「基本、介護保険レンタル」が一番賢い選択
  • ただし「認定の対象外」「転ぶ前の予防」「家族の予備需要」は自費購入も合理的
  • 必須3箇所は「玄関」「トイレ」「ベッドサイド」
  • 選び方は「高さ・太さ・導線・トイレは押す位置」
  • 手すりは「動くための道具」——動かない選択が最大のリスク

大事なのは、「手すりがあれば防げた転倒」をひとつでも減らすこと。親御さんが安心して動ける環境は、何よりのプレゼントになります。実際、置き型手すりは敬老の日の実用ギフトとしても選ばれています。贈り物として検討したい方は敬老の日の実用プレゼント特集もどうぞ。

📩 最後まで読んでいただきありがとうございます

「うちの親の家には、どこに手すりが要る?」——家の間取りや体の状態によって、優先順位は変わります。理学療法士として、ご家族の状況に合わせた最初の一歩をお伝えしますので、お気軽にご相談ください。

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