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📅 2026年7月公開
「杖では、なんだか不安になってきた」——親御さんの歩く姿を見て、シルバーカー(手押し車)を調べ始めた方へ。最初に、現場の人間として正直に言わせてください。
シルバーカーは、誰にでも合う道具ではありません。合わない方が使うと、かえって危ないことさえあります。この記事では、理学療法士として「どんな方に合って、どんな方には別の道具が良いのか」の判断軸からお伝えします。売り手ではない立場なので、「やめておいた方がいい場合」も含めて正直に書きます。
結論|分かれ目は「体重を預ける必要があるか」
シルバーカーと歩行器(歩行車)は、見た目は似ていますが、役割がはっきり違います。
| シルバーカー | 歩行器・歩行車 | |
|---|---|---|
| 対象 | 自分の足で歩ける方 | 支えがないと歩行が不安な方 |
| 体重を預ける | ✕ 預けられない | ○ 預けられる設計 |
| 介護保険 | 対象外(自費購入) | レンタル対象(1〜3割負担) |
なぜシルバーカーに体重を預けてはいけないのか。構造上、体重をかけると本体が持ち上がって(浮いて)しまうからです。だから対象になるのは、「体重を預けなくても歩ける方」。ここが一番大きな分かれ目です。

⚠️ 歩行が不安定な方は、シルバーカーではありません
「歩くのがどうしても不安定。でも、まず何か試してみたい」という段階の方は、介護保険での歩行器レンタルを先に検討してください。月々1〜3割の負担で借りられて、合わなければ返せます。要介護認定を受けていれば担当のケアマネジャーさんに、まだなら地域包括支援センターに相談を。買う前に、まず借りて試せるのが歩行器の大きな利点です。
シルバーカーが合うのは、こんな方
逆に言うと、シルバーカーが活きるのは——
- 自分の足で歩けるけれど、あるとしっかりするという方
- 買い物の荷物を運ぶのがつらくなってきた方(カゴに入れて押して帰れます)
- 杖ほど頼らないけれど、手ぶらで歩くのは少し心細い方
現場でよく提案するのは、「屋外はシルバーカー、家の中は伝い歩き」という使い分けです。家の中は家具や壁を伝えるので、シルバーカーの出番は主に外。散歩と買い物の相棒、というのが一番はまる使い方です。
買う前に、家のまわりをチェックしてください
もうひとつ、買う前に確認してほしいことがあります。自宅のまわりが、段差ばかりではないかということです。
シルバーカーは多少の持ち運びは想定されています。でも、家を出てすぐ階段、道路に出るにも段差、スーパーまでの道も段差だらけ——という環境だと、持ち上げてばかりで、本来支えてほしいはずの道具がただの荷物になってしまいます。
買う前に一度、親御さんがいつも歩くルートを思い浮かべてみてください(帰省のときに一緒に歩いてみるのが一番確実です)。あわせて、玄関まわりに置き場所があるかも見ておきましょう。

選び方|PTが見る4つのポイント
- ① 足元の広さが歩幅に合っているか——フレームの足元が狭い機種だと、歩幅の大きい方は足が本体に当たります。実際に押して歩けるなら、店頭で「いつもの歩幅」で試すのが確実です
- ② 持ち手の形(横持ちか、縦持ちか)——横一文字のハンドルは押しやすく、縦グリップは体を起こしやすい。握ったときにしっくりくる方を
- ③ 重さ——軽いほど持ち運びは楽ですが、軽すぎると安定感は減ります。段差の多い環境なら軽さ、平らな道が中心なら安定感を優先
- ④ 座面は「つくり」を見る——ここは正直に書きます。小さな簡易座面に座って休むのは、私はあまりおすすめしません。ブレーキを確実にかける必要があり、椅子としての安定感も十分ではないからです。座って休憩することが目的なら、しっかりした座面と確実なブレーキのある機種を選んでください(下で紹介します)
タイプ別おすすめ3機種|現場目線で
取り上げるのは、私が現場感覚で「これなら」と思える3タイプです。
① 軽さ重視|テイコブ シプール SICP02(約3.8kg)
とにかく軽く、持ち上げやすいコンパクト型。「大きいものはいらない、散歩と買い物が少し楽になれば」という方に向いています。折りたたみもできて、バスや電車にも連れて行きやすい一台です。価格は16,000円前後(2026年7月時点の実売の目安)。※座面は簡易的なので、座って休むことが目的の方には向きません。
② 安定感の定番|テイコブ ST07(約5.7kg)
少し大きめで安定感があり、収納カゴもしっかりした定番型。座面は前後どちら向きでも使えるつくりです。「軽さより、押していて安心な方がいい」という方、買い物の荷物が多めの方に。価格は17,000円〜2万円台前半と、店舗による幅が大きめです(2026年7月時点)。
③ 座って休みたい方に|RAKU 歩行補助車
座面が持ち手側にあるのが特徴で、座るときに本体の前へ回り込む必要がありません。回り込むときのつまずきが起きにくく、操作もシンプル。散歩の途中でこまめに休みたい方は、こういう構造のものを選んでください。パーキングブレーキ付きです。価格は1万円前後(2026年7月時点)。
安全に使うための3つの注意
- 体重を預けない——寄りかかると本体が浮いて転倒のもとです。体重を預けたくなってきたら、歩行器への切り替えを相談するサインです
- 階段では使わない・運ばない——本体を持って階段を上り下りするのは、両手がふさがって一番危ない場面です
- 下り坂は勢いに注意——本体が先に進んで引っぱられることがあります。急な坂のルートは避けるのが無難です
よくある質問(Q&A)
Q. 親がシルバーカーを嫌がります
A. 現場では男性に多い印象です。無理に外で使わせようとせず、「家では使わなくていいから、外だけでも」と範囲を区切ると受け入れられやすくなります。それでも大事なのは、必要性が本人に伝わること。「これがあると、しっかり歩けるよ」と体感してもらえた方は、自然に使い始める印象です。杖の場合と同じで、嫌がる気持ちへの向き合い方が参考になるはずです。
Q. 介護保険でシルバーカーは買えますか?
A. シルバーカーは介護保険の対象外で、自費での購入になります(だいたい1〜2万円台が中心です)。一方、歩行器・歩行車は介護保険のレンタル対象。「保険で借りられるか」が、道具の区分を見分ける目印にもなります。
Q. シルバーカーと歩行器、どちらか迷います
A. 迷う時点で、一度専門職に見てもらうのがおすすめです。担当のケアマネジャーさんや地域包括支援センター、リハビリ中の方なら担当の理学療法士に「シルバーカーで大丈夫ですか?」と聞いてみてください。歩き方や体の状態に合わせて、適切な歩行補助具を選定してもらいましょう。
まとめ|「歩ける人の相棒」として選ぶ
- 分かれ目は「体重を預ける必要があるか」——預けるなら歩行器(保険レンタルで試せる)
- シルバーカーが合うのは「歩けるけれど、あるとしっかりする」「買い物を楽にしたい」方
- 買う前に、家のまわりの段差と置き場所をチェック。持ち上げてばかりなら荷物になる
- 選び方は、足元の広さ・持ち手・重さ・座面のつくり。小さな簡易座面での休憩はおすすめしない
- 迷ったら専門職へ。歩き方や体の状態に合った歩行補助具を選定してもらうのが確実
杖のことは杖を嫌がる親への向き合い方とT字杖おすすめランキングに、転んだり、ふらつきが増えてきた気がする方は、高齢者が転倒を繰り返す3つの原因|家族にできる対策もあわせてどうぞ。
📩 最後まで読んでいただきありがとうございます
「うちの親は、シルバーカーで大丈夫?それとも歩行器?」——歩き方と、家のまわりの環境によって答えは変わります。理学療法士として、状況に合わせてお答えします。
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