骨盤底筋はどこにある?筋肉の一覧と鍛える体操を現役PTがわかりやすく解説

骨盤底筋はどこ?筋肉の一覧と鍛える体操 アイキャッチ画像(マットの上でくつろぐ猫のイラスト) 介護
ケレン(現役理学療法士)
この記事を書いた人:ケレン(現役理学療法士)
病院で毎日、高齢の患者さんとご家族の「退院後の生活」に向き合っています。
▶ ブログを書く理由 プロフィール

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

📅 2026年8月公開

トイレの悩みは、口にしにくいものです。現場で見ていても、男性は「最近トイレが多くてね」と話してくれますが、女性はあまり言葉にされない印象があります。だからこそ、検索して「骨盤底筋」という言葉にたどり着いたあなたに、理学療法士として順番にお伝えします——どこにある、何の筋肉なのか。そして、どう鍛えるのか

骨盤底筋はどこにある?

骨盤底筋(こつばんていきん)は、その名のとおり骨盤の底にあります。骨盤をボウル(鉢)だとすると、その底にハンモックのように張られた筋肉のグループです。椅子に座ったとき、座面に触れているあたり——恥骨(前)と尾骨(後ろ)の間に張られています。

力の入れ方の感覚は、現場ではこう伝えています。「お腹の中心を、しめる感じ」。おしっこを途中で止めるときの感覚、おならを我慢するときの感覚——と言われることもあります。最初は分かりにくくて普通です。後半の体操で、少しずつ感覚をつかんでいきましょう。

骨盤底筋の場所の図解。骨盤というボウルの底に、ハンモックのように張られた筋肉

骨盤底筋の一覧|ひとつの筋肉ではなく「チーム」です

骨盤底筋は、実はひとつの筋肉の名前ではなく、複数の筋肉の総称です。主なメンバーを一覧にします。

骨盤底筋の3層構造の図解。深層・中間層・表層の筋肉が重なり合い、チームで底を支える
筋肉の名前主な役割
深層
骨盤隔膜
肛門挙筋(こうもんきょきん)
恥骨尾骨筋・恥骨直腸筋・腸骨尾骨筋に細分。女性では一部が恥骨膣筋、男性では前立腺挙筋として区別されることも
骨盤底の主役。膀胱・子宮・直腸などの内臓をハンモックのように支える
尾骨筋(坐骨尾骨筋)底の後ろ側を支える
中間層
深会陰隙(旧・尿生殖隔膜)
深会陰横筋底の前側を支える
外尿道括約筋
女性ではさらに尿道膣括約筋・尿道圧迫筋とあわせて「尿道括約筋複合体」
尿の出口を締める
表層
浅会陰隙
球海綿体筋女性では前庭球を、男性では尿道球を囲む
坐骨海綿体筋底の外側を支える
浅会陰横筋底の前側を支える
外肛門括約筋便の出口を締める

細かい、と感じたと思います。名前を覚える必要はまったくありません。大事なのは、深層・中間層・表層の3層が「チームで骨盤の底を支えている」ということ。だから体操も「どれか1つの筋肉」を狙うのではなく、チーム全体をまとめて働かせる形になります。

役割は大きく3つです。

  • 支える——膀胱・子宮・直腸などの内臓を下から支える
  • 締める——尿や便の出口をコントロールする
  • 体幹の土台になる——横隔膜・お腹まわりの深い筋肉とチームを組んで、お腹の圧力と姿勢を安定させる。リハビリの現場で腹式呼吸の練習とセットで扱うのは、この連動があるからです

体操の前に|「水分を控える」は逆効果です

体操の前に、現場でよく出会う悪循環の話をさせてください。トイレが近いこと・もれることが気になって、水分を控えてしまう方が本当に多いのです。「トイレが増えるのが嫌」「(入院中なら)ナースコールで人を待つのが嫌だから、行かなくて済むようにしたい」——気持ちは、痛いほど分かります。

でも、水分を控えると脱水気味になり、ふらつきやすく、転倒のリスクが上がります。夏なら熱中症の危険も。トイレの悩みを我慢で解決しようとすると、もっと大きなリスクと引き換えになってしまう——だからこそ、水分はきちんと取りながら、筋肉の側を鍛えて解決に向かうのがこの体操の目的です。

水分を控えるのは逆効果の図解。減らすとふらつきの原因に。飲んで、運動で解決へ向かう

骨盤底筋を鍛える体操|4つでOK

① 基本の「しめる」体操(座って・寝て)

椅子に座ったままでも、仰向けに寝てでもできます。

  1. 背すじを軽く伸ばして、肩の力を抜く
  2. 「お腹の中心をしめる」感覚で、骨盤の底をきゅっと締める(おしっこを途中で止めるイメージ)
  3. 5秒キープして、ゆっくりゆるめる
  4. これを10回

ポイントは、朝・昼・晩に分けて1日3回にすること。一気に3セットやろうとすると結構長くて、続かないんです。歯磨きのように「朝の分、昼の分、夜の分」と分けるのが、現場で見ていて続くやり方です。息は止めず、お腹やお尻に力を入れすぎないこと。

座ったまましめる体操の図解。椅子に触れる部分を意識して引き上げる。痛みが出たら中止でOK

② 腹式呼吸とセットで(寝て・座って)

骨盤底筋は呼吸と連動しています。リハビリの現場でも、体幹の練習を兼ねて腹式呼吸とセットで行います。

  1. 鼻からゆっくり息を吸って、お腹をふくらませる
  2. 口から細く長く吐きながら、お腹の中心をしめる
  3. 5〜10回

③ ブリッジ(お尻上げ・寝て)

お尻まわりと体幹も一緒に鍛えられる、現場の定番運動です。

  1. 仰向けに寝て、両膝を立てる
  2. お尻をきゅっとしめ、お腹の中心もしめながら、お尻をゆっくり持ち上げる
  3. 肩から膝が一直線になったら、ゆっくり下ろす
  4. 10回を目安に

④ 立って、お尻をしめる(立って)

台所仕事の合間など、立ったままできる版です。必ず机やテーブルに手を置いて、支えのある状態で行ってください。

  1. 机やテーブルに両手を置いて立つ
  2. つま先をやや内また気味にする
  3. お尻をきゅっとしめる(お腹の中心も一緒に)
  4. 5秒キープ×10回——回数はしめる体操と同じです

床で行うときは、腰や背中が痛くならないよう、厚手のマットを1枚敷くのがおすすめです。私の患者さんにも、床の運動用に用意してもらうことがあります。価格は3,000円前後です(2026年8月時点・色により多少変わります)。

※どの体操も、痛みが出たら中止してください。腰やお腹に痛みがある方は、無理をせず主治医やリハビリ担当に相談を。

続けるコツ|効果は3週間〜数か月先

骨盤底筋は、鍛え始めてすぐには変わりません。目安は3週間〜数か月。だからこそ「頑張る」より「仕組みにする」が正解です。朝昼晩の食後とセットにする、カレンダーに丸をつける——続けた分だけ、確実に応えてくれる筋肉です。

夜のトイレと転倒の話

トイレの悩みは、転倒とつながっています。現場でよく聞くのは「急いでいて危なかった」、入院中なら「(申し訳なくて)付き添いの看護師さんを呼ばなかった」という話です。夜中のトイレは、暗さと寝起きのふらつきが重なる、家の中でいちばん転びやすい場面のひとつ。夜間の転倒対策もあわせて整えておくと安心です。

よくある質問(Q&A)

Q. 男性にも効果はありますか?

A. あります。骨盤底筋は男女どちらにもあり、男性の頻尿・尿もれ対策としても骨盤底筋トレーニングは広く行われています。やり方は同じで大丈夫です。

Q. どのくらいで効果が出ますか?

A. 個人差はありますが、3週間〜数か月が目安です。すぐに変わらなくても、やめずに続けることがいちばんの近道です。

Q. 病院に行った方がいい場合は?

A. 悩みを感じた時点で、受診してよいと思います。泌尿器科(女性は婦人科でも)が窓口です。特に、尿に血が混じる・痛みがある・急に症状が変わったという場合は、体操より先に受診を。トイレの悩みで受診するのは恥ずかしいことではなく、医療者にとっては毎日あつかう、ごく普通の相談です。

Q. リハビリ中にトイレばかりで、申し訳なくて…

A. 申し訳なく思わなくて大丈夫です。我慢や遠慮のほうが、体には良くありません。そのうえで、ひとつ現実的なコツを——リハビリの前にトイレを済ませておくのは、立派な自己管理です。担当としても、そのほうが安心してリハビリに集中してもらえます。なお、入院中はトイレまでの移動が歩く練習を兼ねることもありますが、それが良い運動になるかは体の状態によるので、担当が状態に合わせて考えてくれます。

まとめ|骨盤の底のチームを、1日3回で育てる

  • 骨盤底筋は骨盤の底にある筋肉のチーム。支える・締める・体幹の土台の3役
  • 「トイレが近いから水分を控える」は逆効果。水分は取って、筋肉を鍛える
  • 体操は4つ——しめる体操(5秒×10回を朝昼晩)・腹式呼吸・ブリッジ・立ってお尻をしめる
  • 効果は3週間〜数か月。分けて、仕組みにして、続ける
  • 悩みを感じたら受診してよい。血尿・痛み・急な変化は、体操より先に泌尿器科へ

体を動かす習慣づくりには座ってできる転倒予防体操も、夜のトイレまわりの安全は夜間転倒の対策もあわせてどうぞ。

📩 最後まで読んでいただきありがとうございます

「うちの場合、この体操で合っている?」——体の状態によって、合う運動は変わります。理学療法士として、状況に合わせてお答えします。

💬 LINEで相談する

✉️ お問い合わせフォーム

📚 介護・転倒予防のまとめページ(他の記事から探す)

コメント

タイトルとURLをコピーしました